日本神話・仏教の世界観

 

『オイル』でも登場した日本神話。
結構当たり前のように色々な名称が登場しますが、
小学校で習わなくなったため、日本人なら誰でも知っている訳ではありません。

 

『古事記』と『日本書紀』で漢字表記やエピソードが少しずつ違いますが、
『透明人間の蒸気』に登場するのはエピソードから見て『古事記』の方だと見ていますので、
そちらをベースに解説します!

 

足跡

 

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■ 世界観(この世 と 黄泉の国)

 

天上の神が住む「高天原(たかまがはら)」
現世である「葦原中国(あしはらのなかつくに)」
死者の国である「黄泉国(よみのくに)」「根の国(ねのくに)」

の3層構造になっています。西洋の「天国」「地獄」の考え方に少し似ています。

作中に登場するのは「黄泉の国」。中国では「黄」が「土」を表し、そこにある泉を指していたので、元々「死後の世界」という意味はありませんでした。それが転じて、現代中国語では、死後の世界の意味で普通に使われているそうです。

 

■ 千引の石 ちびきのいわ

 

動かすのに千人力を必要とするような巨石。黄泉への入り口を塞いでいます。

 

■ 黄泉比良坂 よもつひらさか

 

この世と黄泉の間にある坂、またはその辺りの場所です。「ひら」は「崖」を意味します。出雲に、黄泉比良坂があった場所とされる遺跡があり、千引の石とされる巨石もあります。似たような考え方は世界各地にあります。キリスト教でも、キリストのお墓には大きな石で蓋がされ、復活の際にはその蓋が開いていました。黄泉はやっぱりお墓のイメージが強いのでしょうか。

 

■ 三途の川 さんずのかわ
 

仏教の考え方を元にし、民間信仰が混ざって今の形になりました。この世である此岸とあの世である彼岸の、境目にある川で、平安時代までは橋を渡るとされていましたが、そのうち、「6文を払って渡し舟に乗る」という考え方が広まりました。そのため仏教のお葬儀では棺に6文銭を入れていました。現在は、火葬場での副葬品に制限があるので、紙に印刷した六文銭が使われます。奥多摩の鍾乳洞内や、千葉・群馬に「三途の川」と名付けられた川がありますが、日本各所にそれと言われる川があります。

 

■ 脱衣婆 だつえば
 

こちらも仏教発祥。三途の川に6文銭を持たずに来た死者の、衣服を剥ぎ取るおばあちゃんです。その衣類を、「懸衣翁 けんえおう」という、木の上にいるおじいちゃんに渡します。木は、「衣領樹 えりょうじゅ」と言って、そこに衣類を掛けると、重さで生前の罪の重さが判るらしいです。そこで、死後、どう裁かれるかが判ります。閻魔大王の前で行われる最後の審判の前の、身体検査みたいな感じでしょうか……。何故か、子どもの咳を治す神様としても祀られています。さすがおばあちゃん。

 

■ 黄泉軍 よもついくさ
 

黄泉に棲むとされる鬼たち。画像検索すると、ショッカーみたいな、ゲームのキャラクターが出て来ます。

 

■ 伊弉諾尊・伊弉冉尊 いざなぎのみこと・いざなみのみこと
 

イザナギが男、イザナミが女です。「天地開闢 てんちかいびゃく」の折に、共に生まれた兄と妹で、夫婦になり、多数の子をもうけます。この生んだものたちが、日本列島全体や森羅万象の神々になります。イザナミは、火の神を産んだ時に火傷を負って死に、「比婆の山 ひばのやま」に葬られます。イザナギは黄泉の国へ、イザナミに遭いに行きます。イザナミは、夫に自分の顔を見てはいけないと言いますが、イザナギは灯りをともし、腐敗したイザナミの姿を見てしまいます。恐怖したイザナギが地上へ向かって逃げ出すと、黄泉の神たち(化け物に近いです)が追って来ます。イザナギは、自分の身に付けていた髪飾りから出した葡萄や筍、また黄泉の境の桃の木から取った実を投げ付け、黄泉比良坂を大きな岩で塞いでしまいます。

 

■ 素戔嗚尊 すさのおのみこと
 

イザナギは黄泉から帰り、身体を浄めます。洗った時に、右目から「天照大神 あまてらすおおみかみ」が、左目から「月読命 つくよみのみこと」が、鼻から「素戔嗚尊 すさのおのみこと」が生まれます。父は3人の神にそれぞれ、高天原、海原、夜の国など違う場所を統治しろと命じますが、スサノオは母のいる場所に行きたいと泣き叫び、父親から追放されます。また、姉のアマテラスに会いに高天原に行った際には、大暴れし、姉を困らせ、高天原を追放されます。母のいる付近、地上の出雲に着くと、「八俣遠呂智 やまたのおろち」という大蛇への生贄にされそうになっていた美しい少女「櫛名田比売 くしなだひめ」と出会い、助け、結婚します。そして出雲に住み「大国主命 おおくにぬしのみこと」などが生まれます。なんだか波瀾万丈で、エピソードによって全然違う性格を見せて来る、魅力的な神様です。

 

■ 因幡の白兎
 

スサノオの息子、オオクニヌシのエピソードです。オオクニヌシは、地上の出雲で生まれた「この世」を治める神でした。出雲大社の創建のきっかけの神でもあります。ある時、オオクニヌシが、海辺で怪我をして伏せっている兎を見付けます。兎は、ワニザメを欺したため、仕返しに皮を剥ぎ取られてしまったのでした。オオクニヌシは、「水で洗い、蒲の穂の花粉で直すと良い」とアドバイスします。こうして、兎の皮膚は治ります。

 

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