本番:『別れと再会』

 

『あの日、あいつが屋上にいた』の物語を、写真入りで紹介致します。
広瀬玲子役は、石丸香織さんと片山絵里さんのダブルキャストです。

 

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周也も、その後、親の転勤で、イギリスの高校へ行ってしまいました。
いつも屋上にいた「あいつ」の姿は、いつの間にか消えていたのです。
ずっとあったお店がいつの間にかテナント入れ替えで商店街の景色が変わってしまうように、
いつもいた人が風景から消えてしまった……。

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「俺たちの見守り神だったのかもしれないな、あいつ」

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玲子に、「その話、今度こそ、ちゃんと戸北に伝えてやってよ」と言う満広。

満広は、転校した後、音信不通になっていた戸北を捜していました。
Twitter、Facebook、mixiなどのSNSも探しましたが、見付かりません。
幸と衛が婚約した際も、連絡先が解らずじまい……。

何年も探していましたが…… 遂に今年、見付けたのです。
戸北くんは、母親の実家である福島にて、酒蔵を手伝っていました。
そこで作っている日本酒が、震災後、風評被害をはねのけ、受賞したのです。
その戸北酒蔵のホームページを作っているのが、まさしく、涼でした。

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「あいつ、ちゃんと元気にやってるよ。
無事に、こっちに向かってるから。
ちゃんと、その話、伝えてやってよ」

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幸から電話が入ったという満広。
どうやら、さっちーとデラも近くまで来ているようです。
「ちょっと俺、行って来る!」

 

満広が席を外しました。
「広瀬さん。
俺、広瀬さんのこと、高校の時、好きだったよ」
「わたしも……」

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バーベキューで、コンビニまで行った帰り、言えなかった2人。
でも、今だから、言える。
そして、今、言っておかなければ。

 

「おーい、松井と小野寺来たぞー!」
またまた空気を読まずに、戻って来た、満広くんでした。

この後、みんなで再会して、どんな話をするのでしょうか。

 

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《裏話》

戸塚くんは、去年に続き、「俺、おまえのこと好き」って言う役でした。
稽古中、何度やっても演出が笑ってしまうという、謎。
自分で書いて自分で演出しておいて、最後の決めぜりふで笑うって何なんでしょうね。

 

本番:『真実は』

 

『あの日、あいつが屋上にいた』の物語を、写真入りで紹介致します。
広瀬玲子役は、石丸香織さんと片山絵里さんのダブルキャストです。

 

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「あの後、わたし、戸北くんに言えなかった。
本当のこと。
事故の、本当のこと」

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「でも、あれは偶然の、不慮の事故だって」

 

その時、玲子は、アンミと言葉を交わしていたのです。

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アンミが、何故、塾から急いで学校に戻って来たのか。
それは、転校する予定の戸北くんが、
この高校で最後のバスケ部の試合をやっていたので、
それを見に来ていたのです。

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「まだ間に合うかな?」
「走れば間に合うよ!
急げば間に合うと思う!」
「ありがとう玲子ちゃん!
またね」
「またね、アンミ」

 

事故は、2人が初めて親しく笑顔で話した、その次の瞬間に起きたのでした。

 

救急車には、「ご友人の方も」と言われ、玲子と周也が同乗しました。
編入して来た日以来、初めて言葉を交わした、2人でした。

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「僕はいつも見てたよ、君が頑張ってるの。
みんなと同じ場所で。
安藤加奈美っていう友達もできたじゃない?
自分を責めたらダメだよ。
あの瞬間、君はよく頑張ったんだよ。
友達と話した、笑った、また会おうと手を振った。
それだけだよ。
あの時、君たちは心の底から友達になれた。
僕はその瞬間を屋上から見てた。
車が来てたのは偶然だ。
あのスピードじゃアンミは気付けなかった。
君もあの距離じゃ助けられなかった。
僕も何もできなかった。
誰も、どうすることもできなかった。
アンミが助かってもきっと誰かが犠牲になっていた。
僕は、見ていることしかできなかった。
あの遠い所から、いつも。
君は、ちゃんとみんなと同じ景色を見ていた。
みんなと同じ場所から。
だから、君は、大丈夫だよ」

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「もし、わたしが、あの時、急げって言わなければ、
あの時、走れって言わなければ、
アンミは助かっていたかもしれないのに」

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アンミは、本当は戸北くんの試合を見に来たということ、
とても伝えてあげたかったのに、
罪悪勘で、戸北くんに何も話し掛けることができなかった、玲子でした。

 

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《裏話》

橘周也の中にも、玲子に対する親近感は、あったようです。
グループ社会のみんなの和の中に入って行けず、屋上にいた周也。
玲子から見れば、遙かな高みから、
地上の学生たちの人間模様の編み目や、その中でのもがき苦しみを、
全て鳥瞰していたように思っていましたが。
周也から見れば、玲子は、
地上で、みんなと同じ視点を持とうと、しっかりもがき苦しんでいた、頑張り屋さん。
誰も気付いていないと思っていたけれど、周也は見ていてくれた。
そして周也は、認めてくれた、許してくれた。
玲子は、周也に気持を救われたのでした。

人を失った時、この世に残された側は、
「もっと何かできたのではないか」
「わたしのせいではないか」
と、様々後悔してしまうものです。
でも、その時に「あなたは精一杯一緒に過ごしたよ」と認めてくれる人が隣にいたら、
とても救われるのではないでしょうか。

そして、共に生きている今、後悔せずに過ごしたいものですよね。

周也の中に、後悔が無かった訳ではないと思います。
屋上からアンミを助けることはできなかった。
他の友人たちの輪に入っていくこともできなかった。
でも、周也は、それよりも何よりも、
屋上で一緒に音楽を聴いたり、空を眺めたりした時間を、実体として、
自分の中で確固たるものである、ということを認めたのだと思います。
そして、玲子にも、アンミと初めて友情を始める一歩を踏み出したこと、
ちゃんと笑顔で、あだ名で呼び合い、「また明日」と再会を約束したこと、
そちらの方を大事にした方が良いと、語ったのです。
もしそれすらしていなかったら…… 玲子は、アンミの友人ですらなく、
きっと、もっと苦しんでいたに違いないのですから。

 

本番:『事故』

 

『あの日、あいつが屋上にいた』の物語を、写真入りで紹介致します。
広瀬玲子役は、石丸香織さんと片山絵里さんのダブルキャストです。

 

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「わたし、あの日、アンミとすれ違ったの……
アンミが、運ばれた日……」

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その日は、今のように夕方でしたが、
秋も深まっていたので、日も長くなく、薄暗いのでした。

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玲子は、校門を出てすぐの横断歩道を渡って、住宅街の方へ向かっていました。
アンミは、住宅街の方から、走って横断歩道を渡って、校門を入ろうとしていた。

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その時、大きな音がして振り返ると、
大型トラックが斜めにガードレールに当たり、停まっていました。

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17歳の命が、あっけなく奪われた瞬間でした。
飲酒運手と信号無視でした。
玲子が呆然としている間に、知らない人が救急車を呼んでいました。
屋上にいたあいつが、急いで駆け下りて来ていました。

 

短い間に来てしまった、2回目のお葬式。
「こんなのアンミじゃねえから」
「やめなよ、戸北」

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「あんなにしっかりしてたのに、どうして?」
「なんで塾から学校に戻ろうとしてたんだろう」

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「あの日、あいつが屋上にいたんだと。
カバンにもMDが入ってて、救急車にもあいつが乗ってたんだと。
バカだよな、こいつ。
バカだよ!
バーカバーカ!!」
「戸北、もういいから」

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《裏話》

わたしの高校は、校門をすぐ出たところに、横断歩道がありました。
過去に、受験生が合格発表を掲示板で見た帰りに、
校門を出てすぐに交通事故に遭い、亡くなられたことがあったそうです。
それ以来、守衛さんが常駐されるようになったようです。

人が亡くなる時は、ほんの一瞬です。
それがどんな時でも。
合格したばかりでとても幸せな時でも、不幸続きな時でも。
命は儚い。
だから、守らなくちゃいけないのです。