ー今回苦労したことはなんですか?
今回演じる2役はどちらもいわゆる単純バカで、私は普段鬱々と考えてしまうタイプなので、最初使える引き出しが見つからず、苦しみました。
あと運動神経がゼロなのに「戦の神(しかも殺陣あり!)」とは……。
ー「オイル」ってどんな作品ですか?
台本を初めて読んだ時には、「遊園地で時間を忘れておおいに遊んで、気がついたら閉門されて真夜中にたった一人で取り残される」ありふれた比喩で言うと、そんな感じでした。
幾度もの練習を重ね、わずかばかりの勉強をした現在は、「遊園地」自
体がある意味不気味かもしれない、「真夜中」だからといって地球全体が暗いわけじゃない、そんなありふれた見地に至っています。
そしてさらに突っ込んで考えると脳みそがとろけそうになるからあまり考えたくない。でも考えずにはいられない。
そんな印象です。具体的に言うとドタバタコントです。
ー演じる役はどんな役ですか?
コーラバーガー三等兵:バカです。でも日系アメリカ人の悲哀や、大戦の凄惨さを背中になみなみ湛えています。嘘です。多分すさまじい強運か鈍感の持ち主で、いろいろな挫折や困難を華麗にスルーしてきたのだと思います。
「アメリカ国民は共通の過去を持たない代わりに、共通の未来を夢見ることをアイデンティティにしている」という学説があるそうです。その「未来を夢見る」ことが彼の単純さ=純真さにつながっているのかな、と。
もしコーラバーガーがメジャーリーグを目指していたら……きっといい
選手になったと思うんです。乱闘要員の。
戦の神:すごいバカです。あと目立ちたがり屋です。戦争が好きというより、戦っている自分が超カッコいいから好き! という感じです。そういうところは私に似ているなと思います。作中、最強キャラクターです。漫画『ワンピース』で言えばミホークです。おそらく。
ー日系米兵を演じるにあたって、苦労したことなどありましたらお聞かせください
世界史に疎すぎて、最初の壁にぶち当たりました(高校の定期試験で3/50点)。
それを克服すると(してないけど)、今度は「日本人から見た日系アメリカ人」を演じるのか「日系アメリカ人から見た日系アメリカ人」を演じるのか、迷いました。
しかし、そこにギャップがあると考えるのはあくまで第三者の視点でしかないから、演者としては考えすぎないことにしました。裏に背負っているシリアスなものを、コーラーバーガーのおっぺけぺーなキャラとどう調和させるか、まだまだもがいています。
ーあなたが今まで生きてきたうちで、一番大きな社会的な事件は何ですか?
そのときいくつで、どんなことを感じましたか?
一番自分にとって根深く残っている事件は、大阪の付属池田小学校無差別殺傷事件(2001年6月8日です。当時、
私は小学生だったと思うのですが、「小学生でも死ぬんだ」「会ったこともない小学生を殺したい人がいるんだ」という衝撃を受けました。空から小学校を映したテレビ画面を覚えています。
その数年後には、ニュース番組の中で、「子供でも人を殺すん
だ!」がトピックになりました。中学生の私は「子どもが子どもがうるせーよバカ!大人の方がやっとるわ!」と思いました。
今の私は「どうして子どもと生死が絡むと、過剰な反応をしてしまうのか」「それは間違ったことなのか」とたまに考えてみます。答えは出ていません。
ー意気込みをどうぞ!
お客様に、舞台と自分を好きになってもらう。
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