こんにちは。
文学フリマでもお配りした、劇団ののパンフレット。
ちょっと和モダンと北欧風を目指してみました。
このパンフレットの裏面、作品紹介のページに散りばめられたイラストをごらんください。
これらの動植物や生活用品は、実は、今まで劇団のので朗読した作品に登場したものたちです!
今回は、それらのイラストたちが、どの作品に登場したものか、ご紹介します♪
みなさんは、いくつわかったかな?
植物・自然のもの
やはり、植物は、当時の風景描写に欠かせない要素です。
近代文学にはたくさんの植物が登場します。
蓮(ハス)
芥川龍之介『蜘蛛の糸』では、お釈迦様が歩いている極楽の池に、蓮が咲いています。
本当は、蓮の場合は水面より上に茎が伸びているので、この絵だと、睡蓮のように見えてしまいますが。茎を描くのが難しかったので、ご容赦ください。
桜
森鴎外『高瀬舟』には、知恩院の桜が出てきます。
他に桜が出てくる話あったかな、忘れました。
葉っぱ・紅葉
芥川龍之介『秋』、『鼻』は、秋の様子で、葉っぱがいっぱい出てきます。
国木田独歩の竹の木戸も、秋の話。
横光利一『慄える薔薇』では、妻が庭の落ち葉をはいているシーンが出てきます。
食べ物
食べ物といっても、植物とは切っても切り離せないものが多く……しかし、ここでは、物語の中で豊かな恵として描かれていたり、登場人物においしそうに食べられたりしているものたちを、食べ物とカテゴライズしてみました。
茸(キノコ)
夢野久作『きのこ会議』には、たくさんの種類のきのこたちが登場して、おしゃべりしてくれます。加賀美もちこさんが全てのきのこキャラを演じるクレイジーな音源、ぜひ聞いてください!
新美南吉『ごんぎつね』では、ごんが栗やマツタケを運んできますね。
胡瓜(キュウリ)
小川未明『遠くで鳴る雷』には、主人公が育てて、水神様にお供えするキュウリが登場します。
葡萄(ブドウ)
横光利一『妻』では、庭にブドウがなっています。
芥川龍之介『秋』では、俊吉が葡萄酒を好んで飲んでいる様子が書かれています。
蜜柑(ミカン)
芥川龍之介『蜜柑』は、その名の通り、ミカンのお話。奉公に出る少女が、汽車の窓から弟たちにミカンを投げ、別れを告げます。
江戸川乱歩『指環』でも、汽車からミカンを投げるエピソードが出てきます。
ミカンは、旅のお供として、最適な果物だったのでしょう。
栗(クリ)
新美南吉『ごんぎつね』では、ごんが兵十の家に、山で拾った栗を運びます。
栗は、今でも、秋の恵の代表ですよね。
生活用品
劇団ののブログ「言葉しらべ」では、いつも、明治・大正の、我々はもう使わなくなった、知らない道具に悩まされます。
その反面、未だにほとんど形を変えずに、我々の生活の中に残ったものもあったりして。
西洋の食器
宮沢賢治『注文の多い料理店』には、西洋料理を食べるため、ぴかぴかのナイフとフォークが準備されていることでしょう。
日本の食器
国木田独歩『竹の木戸』では、磯吉が夕飯をかきこむシーンがあります。
新美南吉『ごんぎつね』では、兵十がぼーっとごはんを食べるところを、ごんが影から見守るシーンがあります。
芥川龍之介『秋』でも、みんなで食卓を囲むシーンがあります。
いつの時代も、食べることは生きること。ごはんを食べることは物語の中で大事なシーンになるんですね。
煙管(キセル)
国木田独歩『竹の木戸』では、磯吉が無言のイライラを表すシーンで、キセルを吸っています。
江戸川乱歩『指環』では、たばこ入れがキーアイテムとなっています。
眼鏡(メガネ)
まぁ、ちょっと、正直、メガネが登場した覚えはありません、思い出せません。
きっと、どれかの話の誰かは、1人くらいメガネをかけてたんじゃないの? と思って描きました。
Podcastの「劇団ののと読む名作文学 ののラジオ」のアイコンでは、ののぐまちゃんが読書用のメガネをかけています。(ののぐまちゃんって、近視なの?)
ランプ
国木田独歩『竹の木戸』には、お原が洋灯に火を入れる場面が出てきます。
この頃は、西洋の文化が流入して、ガス灯やランプが現れました。
下駄
ほとんど、みんなはいているでしょう、みんなです。
革靴を履いていた人もいるかと思います。
傘
土田耕平『狐に化かされた話』では、雨に降られて小屋に逃げ込んだ村の女性たちのために、権兵衛さんという人が、傘を持って来てくれる場面が出てきます。
和傘ってかっこいいですよね〜。
手紙
お手紙は、何回か出て来ていると思います。手紙や封筒が届くのって、物語を進めるキーになりますから、頻繁に登場するアイテムですよね。
芥川龍之介の『秋』では、姉妹の信子と照子が手紙を送り合います。また、俊吉が何やら女中さんから封筒を受け取ったり。
横光利一の『慄える薔薇』では、主人公(夫)に、ファンレターが届いて、心情が揺れます。
帽子
夏目漱石『夢十夜 第十夜』には、パナマハットが登場します。
新美南吉『手袋を買いに』では、山高帽の形をした看板が登場します。
指環(ゆびわ)
江戸川乱歩の『指環』は、汽車の中で貴婦人の指環が盗まれてしまうミステリーです。
手袋
新美南吉『手袋を買いに』は、こぎつねと母ぎつねが雪の中、人里におりて手袋を買い求めるお話です。
風呂敷
風呂敷は、当時、荷物を運ぶときの定番の入れ物です。
汽車の旅にも欠かせないでしょう。芥川龍之介『蜜柑』では、少女が風呂敷包みから蜜柑を取り出します。
生き物
蟷螂(カマキリ)
横光利一『妻』には、カマキリが登場。雇われたおばあちゃんが、見つけます。主人公は、オスを食うメスを見て、何かを思います。
蛾(ガ)
蛾。こちらは、横光利一の、その名も『蛾はどこにでもいる』から、です。
主人公は、自分の周りに現れる白い小さな蛾を、死んだ妻の姿なのではないかと、思い始めます。
昆虫が続きました。横光は、庭を含む自然の風景を、かなりよく観察していたようです。
魚
新美南吉の『ごんぎつね』には、兵十が川でうなぎをとったり、村にいわし屋さんがきたり、魚が登場します。
蔵原伸二郎『狐』という詩にも、ちょっとだけ魚が登場します。
鶏(ニワトリ)
芥川龍之介『秋』では、照子がニワトリを飼って可愛がっています。
小川未明『ものぐさなきつね』は、きつねも登場するのですが、実は、夜空のお星さまとニワトリの、ちょっとした友情のお話。かわいい童話です。
亀(カメ)
横光利一『春は馬車に乗って』では、庭の池に亀がいて、いつの間にかいなくなります。
豚(ブタ)
ブタといえば!
夏目漱石『夢十夜 第十夜』のクライマックスで、ブタの大群が押し寄せてきます。栗田ばねさんが全ブタを演じていますから、ぜひ聞いてほしいです。
狸(タヌキ)
タヌキさん。可愛いですね。
キツネが登場する物語を取り上げるとき、一緒にタヌキの登場する物語も、2つ、朗読しました。
狐(キツネ)
キツネが登場する物語では、新美南吉を中心として、いくつもの、狐が登場する物語を朗読しました。
日本でも西洋でも、キツネは身近な動物だったようで、たくさんの童話が残されていますね!
いくつわかったかな?
パンフレット、お読みくださって、ありがとうございました!
和モダンと北欧風を目指して、頑張ってデザインした、モチーフたちでした!