ヤ行の記事一覧

横光利一が愛した妻

横光利一『蛾はどこにでもいる』

妻を看取り、喪失感に捕らわれ、傷心の主人公。妻の実家では居たたまれず、恩師の元で隠遁生活を送る。 気晴らしに出掛けた先や、食事の最中、ふと何気なく気付くと、彼の周りにはいつも、一匹の白い蛾が飛んでいた。彼は次第に、蛾を死んだ妻だと思い、不思議な親しみを感じるようになる。 そんなある日、彼の文学のファンだという女性が訪ねて来るのだが……。 横光利一が闘病の末に妻を亡くした経験に着想を得た、自伝的小説です。
横光利一が愛した妻

横光利一『慄える薔薇』

貧しいながらも、郊外の庭付きの家に引っ越した、若い画家の卵と、その新妻。 夫は、妻に苦労を掛けていることを身にしみて知っており、後ろめたさを感じているが、甲斐甲斐しく家事をして支えてくれる様子に、かえって素直になることができず、軽口ばかり叩いていた。 そんな中、彼の絵が展覧会で取り上げられ、絵を見た女性からファンレターが送られてくる。 芸術とは何か、芸術で出世してゆくこととは何か……静かな風景と静かな言葉のやりとりの中に、熱く強い葛藤と愛情が紡がれる。
横光利一が愛した妻

横光利一『妻』

郊外の庭付きの家に住む、若夫婦。新婚の頃は夫にただ従順で心配ばかりしていた妻も、今では小気味良い皮肉を返すほどに余裕が生まれた。こうして夫婦のステージは少しずつ変化していく。庭でメスに食われるカマキリのオスを見つけ、そこに自らの最終段階を...
横光利一が愛した妻

横光利一『春は馬車に乗って』

肺病による咳に苦しみ、床に伏せる妻と、そして自宅で仕事をしつつ甲斐甲斐しく看病する夫。闘病とは何か、死とは何か、夫婦の愛とは何か。やがて来る別れを前に、2人は時に責め合い、時に寄り添いながら、それぞれの真理を求め続ける。実際に若くして妻を...
ちょっと不思議な童話集

夢野久作『きのこ会議』

ある日、森の中で、きのこたちが集まって、会議を開いています。人間についての意見を次々と発表する、個性溢れるきのこたち。そこへ早速、きのこ狩りにやってきた、人間の家族。きのこたちの運命やいかに。劇団のの史上最多の役を、吉田素子がひとりで演じ...
背筋がぞくっとする話

夢野久作『縊死体』

噴水のある公園のベンチで夕刊に目を走らせる男。彼が探しているのは、「踏切の近くの小屋で縊死体(首吊り死体)が発見された」というニュースだ。それは彼が先日恋仲にある女性を、その美しさのあまり殺害し、自殺に見せかけて放置したから。そしてある時...
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