横光利一が愛した妻 横光利一『慄える薔薇』 貧しいながらも、郊外の庭付きの家に引っ越した、若い画家の卵と、その新妻。夫は、妻に苦労を掛けていることを身にしみて知っており、後ろめたさを感じているが、甲斐甲斐しく家事をして支えてくれる様子に、かえって素直になることができず、軽口ばかり叩いていた。そんな中、彼の絵が展覧会で取り上げられ、絵を見た女性からファンレターが送られてくる。芸術とは何か、芸術で出世してゆくこととは何か……静かな風景と静かな言葉のやりとりの中に、熱く強い葛藤と愛情が紡がれる。 2020年10月26日 慄える薔薇
横光利一が愛した妻 横光利一『妻』 郊外の庭付きの家に住む、若夫婦。新婚の頃は夫にただ従順で心配ばかりしていた妻も、今では小気味良い皮肉を返すほどに余裕が生まれた。こうして夫婦のステージは少しずつ変化していく。庭でメスに食われるカマキリのオスを見つけ、そこに自らの最終段階を重… 2020年6月15日 妻
横光利一が愛した妻 横光利一『春は馬車に乗って』 肺病による咳に苦しみ、床に伏せる妻と、そして自宅で仕事をしつつ甲斐甲斐しく看病する夫。闘病とは何か、死とは何か、夫婦の愛とは何か。やがて来る別れを前に、2人は時に責め合い、時に寄り添いながら、それぞれの真理を求め続ける。実際に若くして妻を亡… 2020年3月08日 春は馬車に乗って
劇団のの脚色&ダブルキャスト『指環』 江戸川乱歩『指環』 とある列車の中。1人の男Aが、もう1人のBに話しかける。以前も会ったことがあるというこの2人。前回はちょうど、車内で指環がすられる事件があり、Bが疑いを掛けられた時だった。その事件の裏側に隠された真実とトリック、そしてAとBの正体とは……?… 2019年12月22日 指環
ちょっと不思議な童話集 宮沢賢治『注文の多い料理店』 2人の紳士が、狩猟を楽しみに山を訪れた。彼らは東京からやってきており、恰幅が良く、身なりや装備も立派な様子だ。しかし、突如、連れて来た犬が死んでしまい、風も強くなってきたため、狩りを中断するはめに。がっかりした2人が見つけたのは、西洋料理店『山猫軒』。喜んで中に入ると、そこにはまたドアがあり、何やら注意書きが。文言に従って次々とドアを開けて奥へ進んでいく2人を、最後に待ち受けていたものとは…!? ミステリアスな童話を、ゲーム風のアレンジでお楽しみください。 2019年8月26日 注文の多い料理店
ちょっと不思議な童話集 夢野久作『きのこ会議』 ある日、森の中で、きのこたちが集まって、会議を開いています。人間についての意見を次々と発表する、個性溢れるきのこたち。そこへ早速、きのこ狩りにやってきた、人間の家族。きのこたちの運命やいかに。劇団のの史上最多の役を、吉田素子がひとりで演じ分… 2019年6月29日 きのこ会議
背筋がぞくっとする話 小泉八雲『雪女』 ある冬の日、武蔵の国の木こり・茂作と巳乃吉は、猛吹雪に遭い、渡し守の小屋で夜を明かすことになる。しかし、突然現れた真っ白い女に息を吹きかけられ、茂作は命を落とすが、巳乃吉はなんとか見逃されて生き延びる。数年後のある日、巳乃吉は道行く美しい女… 2019年3月07日 雪女
芥川龍之介作品集「秋」ほか 芥川龍之介『鼻』 時は鎌倉時代。京都の寺の僧、禅智内具。務めに励む彼を長年悩ませるのは、顎の下まである、長く大きな鼻だった。人に笑われる上に、食事など日常生活にも不便がある。ある日、医者から聞いた鼻を茹でて短くする方法を試し、無事に縮むのだが……。人間のコンプレックスと自尊心、他人の不幸を願うエゴなどを描き、夏目漱石に称賛された作品。 2018年11月30日 鼻
背筋がぞくっとする話 夏目漱石『夢十夜』より「第十夜」 「こんな夢を見た」のフレーズで有名な、『夢十夜』から、不思議な「第十夜」をお届けします。暇人で女好きの正太郎は、果物屋の店先に座っては女を、女が通らない日は果物を眺めていました。そしてある日、果物屋に立ち寄った美しい女性にフラリとついていき… 2018年11月03日 夢十夜「第十夜」
背筋がぞくっとする話 夢野久作『縊死体』 噴水のある公園のベンチで夕刊に目を走らせる男。彼が探しているのは、「踏切の近くの小屋で縊死体(首吊り死体)が発見された」というニュースだ。それは彼が先日恋仲にある女性を、その美しさのあまり殺害し、自殺に見せかけて放置したから。そしてある時、… 2018年9月30日 縊死体