作品一覧

きつねのおはなし

田中貢太郎『狸と同棲する人妻』『狸と俳人』

仁蔵は仕事熱心な若者で、毎日のように行商に出かけていた。ある時、何日も帰らなくなり、妻の直は非常に心配していたが、ひょっこりと帰宅し、また平穏な日々が再開した。しかし……!?(狸と同棲する人妻) 変わり者の俳人、澤田庄造は、庭にくる...
きつねのおはなし

蔵原伸二郎『狐』

どこか荒寥とした大きなスケールでありつつ繊細な風景描写。その広大な自然環境の中に溶け込むように存在する狐たちの姿。狐は、鶏を狩り、人間に狩られ、身ごもる野生の生き物でありながら、その枠を超えて光、影、石、風、宇宙になることもでき、人間の魂...
きつねのおはなし

新美南吉『手袋を買いに』

森で暮らす、きつねの親子。雪が降り、ぼうやは外に出ておおはしゃぎですが、小さなこぎつねの手は、冷たくなってしもやけになりそう。親子は手袋を買うために、人間の住む町まで歩き始めました。人間はやさしい? それとも、おそろしい…?きつねのぼうや...
きつねのおはなし

土田耕平『狐に化かされた話』

ある月の夜、太郎は寝る前におばあさんに物語を聞かせてもらいました。それは、おばあさんが若い頃のこと。村の女たちは夕飯が終わると、連れ立って、田んぼから湧き出る温泉に出かけるのでした。ある同じような月の晩、いつものように湯に入った帰り道、急...
きつねのおはなし

小川未明『ものぐさなきつね』

夜空に輝く星にとって、元気にいっぱいに鳴くニワトリは、唯一の話し相手でした。地上で起きたことを賑やかに報告してくれていたニワトリは、冬になると小屋に入れられてしまい、星は、春が来るまでしばらく一人ぼっちになってしまいました。ある白銀の夜、...
きつねのおはなし

林芙美子『狐物語』

好奇心いっぱいの狐の子、六兵衛は、ある日、山から下りて人里を探検してみた。人間の子ども、牛やにわとりなどに出会い、興味しんしんの六兵衛だったが、突然、人間の大人につかまり、木箱に閉じこめられてしまう。「狐はウソをついたり、人を化かしたりす...
きつねのおはなし

土田耕平『狐の渡』

川の向こう岸に渡りたくて困っていた旅人の元に、コン助と名乗る美しい子どもの船頭が乗った船が通り掛かりました。船を上手に操る子どもの尻の辺りから尻尾が生えているのを見た旅人は……!? 江戸時代には、橋を架けられない幅の広い川に、交通手...
横光利一が愛した妻

横光利一『蛾はどこにでもいる』

妻を看取り、喪失感に捕らわれ、傷心の主人公。妻の実家では居たたまれず、恩師の元で隠遁生活を送る。 気晴らしに出掛けた先や、食事の最中、ふと何気なく気付くと、彼の周りにはいつも、一匹の白い蛾が飛んでいた。彼は次第に、蛾を死んだ妻だと思い、不思議な親しみを感じるようになる。 そんなある日、彼の文学のファンだという女性が訪ねて来るのだが……。 横光利一が闘病の末に妻を亡くした経験に着想を得た、自伝的小説です。
横光利一が愛した妻

横光利一『慄える薔薇』

貧しいながらも、郊外の庭付きの家に引っ越した、若い画家の卵と、その新妻。 夫は、妻に苦労を掛けていることを身にしみて知っており、後ろめたさを感じているが、甲斐甲斐しく家事をして支えてくれる様子に、かえって素直になることができず、軽口ばかり叩いていた。 そんな中、彼の絵が展覧会で取り上げられ、絵を見た女性からファンレターが送られてくる。 芸術とは何か、芸術で出世してゆくこととは何か……静かな風景と静かな言葉のやりとりの中に、熱く強い葛藤と愛情が紡がれる。
横光利一が愛した妻

横光利一『妻』

郊外の庭付きの家に住む、若夫婦。新婚の頃は夫にただ従順で心配ばかりしていた妻も、今では小気味良い皮肉を返すほどに余裕が生まれた。こうして夫婦のステージは少しずつ変化していく。庭でメスに食われるカマキリのオスを見つけ、そこに自らの最終段階を...
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