夢野久作「きのこ会議」|きのこ図鑑

ことば調べ
きのこ会議
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夢野久作の「きのこ会議」に登場する、きのこたちについて、正式名称、毒の有無、生えてくる季節、生息環境、色・形・大きさなどなど、調べました。

作品に登場するきのこたち

  • 正式名称:モエギタケ科 スギタケ属 ナメコ(別名ナメタケ、ヌメリタケ)
  • 毒:×
  • 季節:秋。
  • 環境:ブナやナラなどの枯れ木、切り株。
  • 色・形・大きさなど:傘は明るい茶色、茎は白または明るい茶色。ゼラチン質でプルプルしている。
  • 食べ方:味噌汁、おひたし、炒め物。傘が開いていないものは、直火焼きするとシャキシャキした歯ごたえがある。
  • その他特徴:人工栽培も広く行われる。家庭栽培も可能。
  • 歴史:人口栽培確立は大正時代。2011年、ゲームがヒットした。
  • 正式名称:ハラタケ目 キシメジ科 ムラサキシメジ属 ムラサキシメジ(参考文献より、ムラサキシメジを指す方言であると推測)
  • 毒:×(※生では中毒症状が出ることもある)
  • 季節:晩秋。
  • 環境:落葉広葉樹林。列状や円弧になる。
  • 色・形・大きさなど:傘は5〜10cm、柄は4〜8cm。初期は、美しい紫色。
  • その他特徴:やや癖のある匂い。
  • 食べ方:煮物、鍋物、吸い物。味や歯触りが優れている。
  • 歴史:ヨーロッパでは古くから食用にされ、栽培されている。
  • 正式名称:サルノコシカケ目 イボタケ科 シシタケ/マツバハリタケ科 コウタケ目(コウタケの場合、和名がシシタケ)
  • 毒:△ (※食べ方を間違えると苦みが残り中毒症状になる)
  • 季節:秋。
  • 環境:広葉樹林内の地上。
  • 色・形・大きさなど:10〜20cm。毛が密集し、動物のような模様。コウタケは醤油のような香りがするため、「香茸」と書く。
  • その他特徴:コウタケと同種とされることもある。
  • 食べ方:よく乾燥させて保存食とすると、香りが高くなる。炊き込みご飯、天ぷらなど。
  • 歴史:海外でも、食用、染料など幅広く活用され、流通している。
  • 正式名称:スッポンタケ目 ホウキタケ科 ホウキタケ(別名ネズミタケ)
  • 毒:×
  • 季節:秋。
  • 環境:広葉樹、針葉樹混成林の地上付近。
  • 色・形・大きさなど:高さ10〜20cm。サンゴのように枝分かれする。先端は淡い赤色、成熟すると灰色になる。先端以外は白い。
  • その他特徴:毒キノコであるハナホウキタケやキホウキタケと見た目が似ているので要注意。
  • 食べ方:ホイル焼き、炒め物、炊き込みご飯。火を通すとプリプリした食感になり、大変風味が良い。
  • 歴史:おいしいため、日本では古くから食用として親しまれてきた。
  • 正式名称:ガマノホタケ科 ムキタケ属 ムキタケ(参考文献にムキタケの別名としてカワハギキノコがあり、これを指すものと推測)
  • 毒:×
  • 季節:秋。
  • 環境:枯れたミズナラ、ブナなどの幹。
  • 色・形・大きさなど:傘の直径は3〜15cm。薄い黄褐色。半円形。
  • 食べ方:汁物、煮物、炒め物など。毛の生えた皮を剥いて食べる。秋田県では鍋に入れる習慣がある。
  • 特徴:毒キノコであるツキヨタケによく似ているため、要注意。
  • 歴史:山里で好まれてきた。昭和50年代から品種改良が試みられ、商業ベースに乗りつつある。
  • 正式名称:イグチ目 ショウロ科 ショウロ
  • 毒:×
  • 季節:春・秋。
  • 環境:松林の地中。
  • 色・形・大きさなど:1〜3cm。ジャガイモのような形。未熟なうちは白色で、米松露と呼び、尊ぶ。成熟すると褐色の麦松露になる。
  • その他特徴:果物のような香り。
  • 食べ方:食塩水で洗う。吸い物、塩焼き、茶碗蒸し、和え物、煮物、揚げ物。干しリンゴのような食感。美味。
  • 歴史:発見が容易でないため希少価値がある。松林の管理不足に伴い減少傾向にある。近年、栽培が試みられている。
  • 正式名称:ベニタケ目 ベニタケ科 チチタケ属 ハツタケ
  • 毒:×
  • 季節:夏〜秋。
  • 環境:マツ科の樹下、地上。
  • 色・形・大きさなど:直径3〜10cm。半球体から浅い皿状へ成長。
  • その他特徴:傷付くと赤ワイン色の乳液が出て、青緑色に変わる。
  • 食べ方:焼き、揚げ、ご飯、汁物、煮物、漬け物。パサパサした食感。
  • 歴史:江戸時代の文献に和名で登場するなど、古くから食用とされるが、栽培研究の歴史が無い。
  • 正式名称:キシメジ科 キシメジ属 キシメジ亜属 マツタケ節 (マツタケはそれらの総称)
  • 毒:×(※多量に、または古い物を食べると中毒症状を起こす)
  • 季節:夏〜秋。
  • 環境:アカマツの樹下、マツ科の樹下。
  • 色・形・大きさなど:柄が太長く、傘が丸い。
  • その他特徴:地上に出て開ききってしまうと香りが落ちるため、収穫に手間と知識が必要。
  • 食べ方:焼き、ご飯、汁物、煮物。生ではおいしくない。歯ごたえあり。香りが良い。
  • 歴史:マツタケを象った縄文土器が出土。日本書紀にも登場。
  • 正式名称:ハラタケ目 キシメジ科 シイタケ
  • 毒:×(※生や戻し汁ではアレルギー性皮膚炎を起こすことがある)
  • 季節:初夏〜秋。
  • 環境:広葉樹の枯れ木。
  • 色・形・大きさなど:柄は短い円柱形。
  • その他特徴:鮮度が落ちやすい。そっくりな毒キノコにツキヨタケがあるので要注意。
  • 食べ方:焼き、鍋、スープ、茶碗蒸し、うどん、巻き寿司、炒め、天ぷら、煮物、干物。アジアで栽培。旨味成分が出汁になる。精進料理に欠かせない。好き嫌いが別れる。
  • 歴史:江戸時代から栽培可能に。中国では紀元前から食用とされる。
  • 正式名称:キクラゲ科 キクラゲ属 キクラゲ
  • 毒:×
  • 季節:春〜秋。
  • 環境:広葉樹の倒木、枯れ木、切り株の幹。
  • 色・形・大きさなど:直径2〜6cm。耳のような形で、プルプルしている。生えているときは透明感がある。
  • その他特徴:キノコの中でも特に栄養価が高く、ビタミンD、鉄分、カルシウムなどを多く含む。
  • 食べ方:煮物、炒め物等。アジアでよく食される。
  • 歴史:江戸時代の文献に名前が登場する。
  • 正式名称:ハラタケ目 キシメジ科 キシメジ属 シロシメジ(白茸は方言。別名ヌノビキ)
  • 毒:×
  • 季節:晩秋。
  • 環境:アカマツなど二針葉松林や広葉樹の混交林、ツガやモミにアカマツを交えた林。
  • 色・形・大きさなど:白。古くなると淡褐色に。半球状から饅頭型になり最後は平たくなる。湿るとベタベタした感触に。
  • その他特徴:無臭。姿が似ている茸、名前が似ているキノコが多数ある。
  • 食べ方:多少苦みがあり、茹で落とす必要がある。
  • 正式名称:テングタケ科 テングタケ属 ガンタケ
  • 毒:△ (※下痢、吐き気など胃腸系の食中毒を起こすことがある)
  • 季節:夏〜秋。
  • 環境:森の中の地上。
  • 色・形・大きさなど:傘の直径は6〜18cm。橙色または赤褐色で、薄褐色のイボが無数にある。
  • その他特徴:鳥の雁に色が似ていることから命名。過去、加熱調理すれば食べられるとされていたが、近年加熱しても分解されない毒が微量に含まれることがわかり、食用とされなくなった。
  • 正式名称:ハラタケ目 テングタケ科 テングタケ属 テングタケ(別名:ハエトリタケ、豹茸。またはテングタケの俗称)
  • 毒:◎  (食後15〜90分以内で、腹痛や下痢等の胃腸炎症状、痙攣や精神錯乱などの神経症状が発現する。意識不明に陥ることもある)
  • 季節:夏〜秋。
  • 環境:針葉樹林・広葉樹林の地上。
  • 色・形・大きさなど:傘は灰褐色で、白のイボがある。柄は白。
  • その他特徴:ハエが舐めると中毒症状を起こして死ぬことから蠅取茸と呼ばれる。よく似た茸にイボテングタケがあり、長年同種とされてきたが、近年、別種とされた。
  • 食べ方:基本的に、食べることはできない。
  • 正式名称:ベニタケ目 ベニタケ科 ベニタケ属(べニタケの総称)
  • 毒:×
  • 季節:夏〜秋。
  • 環境:林の地上。
  • 色・形・大きさなど:大きさは大小様々。主に紅色だが、白、黒、暗褐色、黄褐色、黄色、橙色、桃色、紫色、緑色など多様。
  • その他特徴:傷を付けると変色する種が多数。
  • 食べ方:辛味や苦味が強いものが含まれ、そうでないものも一般に歯切れが悪いため、食用キノコとして広く利用されるものは少ない。
  • 歴史:毒々しい色調のため毒キノコの代表として扱われてきた。すっかりイメージが定着しているが、実は全てが有毒ではない。
  • 正式名称:マグソタケ(イグチ科 ヌメリイグチ属 ヌメリイグチの別名。馬糞に生えるキノコの俗称の可能性がある)
  • 毒:△ (※食べ過ぎるとお腹を壊す。アレルギー症状が出る人もいる)
  • 季節:夏〜晩秋。
  • 環境:マツ林やマツのある公園、庭などの地上に群生。
  • 色・形・大きさなど:傘の直径は、3〜10cm。褐色。
  • その他特徴:湿気が多い場所では表面がぬめっている。多くの地方名を持つ。
  • 食べ方:広く食用されている。
  • 正式名称:スッポンタケ科 キツネノロウソク属 キツネノロウソク(火を灯すことから、キツネノロウソクと推測)
  • 毒:×
  • 季節:夏〜秋。
  • 環境:林、公園、道など、腐葉土の地上。
  • 色・形・大きさなど:高さ5〜12cmの棒状。軸はピンク色、先端はオリーブ色。
  • その他特徴:先端に胞子が含まれ、悪臭がしてハエが集まるため、夢野は毒キノコとして登場させたのかもしれない。類似したキノコに、キツネノタイマツ、毒キノコのキツネノエフデがある。
  • 食べ方:悪臭がするため、食べるのには向かない。
  • 正式名称:ホコリタケタケ科 ホコリタケ属 キツネノチャブクロ(別名ミミツブシ、バクダン。ハラタケ目 ハラタケ科 ホコリタケも存在する)
  • 毒:×
  • 季節:梅雨〜秋。
  • 環境:林の地上、草地、庭、道など。
  • 色・形・大きさなど:2〜6cmで。全体に白く、先端の突起は褐色。傘にはトゲが生えている。
  • その他特徴:成熟すると傘が破れて胞子が悲惨する。それが耳や目に入るとキノコが生えて来るという都市伝説があるため、夢野は毒キノコとして登場させたのかもしれない。
  • 食べ方:若いものは食べられるが、あまり食用には向かない。
  • 正式名称:不明(古くなった草鞋に生えるキノコの古い呼び方。正確な種類は不明)

吉田素夫 博士

1987年生まれ。
郊外の自然と適度に触れ合って育つ。
ド文系の大学を卒業。
すっかり自然のありがたみを忘れて過ごす。
2018年、夢野久作『きのこ会議』に出会い、異常なまでの意欲を見せる。以降、キノコの魅力に取り憑かれ、あからさまなにわかファンとなる。
まだキノコを収穫したこともなければ、新種を発見したこともない。
いつかキノコ博士を名乗るべく、これから努力することが期待される。
吉田素子に、そっくり。

参考文献

背景素材

参考リンク

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作品本編はYouTubeでも配信中↓

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