夢野久作「縊死体」|作品に登場する語彙の解説

ことば調べ
縊死体
ことば調べ

夢野久作の短編『縊死体』に登場する、ちょっと難しい言葉の意味を調べてみました。

縊死体【いしたい】

首を吊って死んだ遺体のことです。首を吊ったり、くくったりして死ぬことを縊死と言います。

一条【いちじょう】

「条」は、川や道、布、煙など細長いものを数えるときに使います。噴水の噴き出す様子が細長く見えるため、「一条」と数えています。

郊外【こうがい】

都市の中心から少し離れた、人口の多い地域を指します。都市に働きに出る人々のための住宅地が広がっていることが多いです。

桃割れ【ももわれ】

女性の日本髪のひとつです。
10代後半の少女がよく結っていたもので、頭の後ろで髪をまとめ、2つの輪を作ります。
まげの形が桃を半分に割った形に見えることから「桃割れ」と呼ばれました。
少女らしさを感じる髪型だったのでしょう。
昭和時代に入ってからも、戦前までは日常的に結われることがあったようです。

振袖【ふりそで】

江戸時代に発展した、袖が長い女性用の着物です。袖が長くなっていった理由は諸説ありますが、主に流行によって美しさを追求したためではないかと思われます。
成人前の未婚女性の普段着でした。
戦後は、現代まで、未婚の女性の晴れ着として、成人式や卒業式などでよく着られています。

扱帯【しごきおび】

しごき帯のことで、通常「志古着帯(しごきおび)」と表記します。
もともとは、女性が着物の裾(すそ)を身長に合わせてたくし上げるために使用した帯です。
現代では、七五三、成人式、結婚式など盛装(せいそう)時に、飾りとして使用します。
通常の帯の下で腰に締め、体の前または後ろで蝶(ちょう)結びをして垂らすのが一般的です。

キチガイ

通常「気違い」「気狂い」と書きます。精神が平常と異なる状態になり、常識から外れた言動をとることや、そうしたことをする人を言います。現代では不適切な言葉とされ、使われていません。

鴨居【かもい】

住宅の一部で、ふすまや障子をはめるために溝が設けられた枠の上側を指します。
下側は「敷居」と呼びます。
木でできていることが多いです。

バット

「ゴールデンバット」(英語で「金色のコウモリ」という意味)の略で、日本製タバコの銘柄です。
明治39(1906)年に発売され、現在でも販売されています。
「ピース」や「朝日」といった高級銘柄に対して、「ゴールデンバット」は安さが売りでした。

特種【とくだね】

新聞や雑誌で、一社だけが抜け駆けして手に入れたニュースのことです。スクープとも言います

三段抜き

新聞の紙面で、記事を大きく扱うために、三段分を使って見出しを組むことです。

電気のように飛び付く

「電気のように」という慣用句はありませんが、例えば電光石火のごとく」は、稲妻や閃光のイメージから、ほんの短い間や素早い動作を表します。
ここでは、記事の内容が、主人公の目に、一瞬にして、閃光のごとく目に飛び込んで来た様子を比喩していると推測されます。
芥川龍之介は『アグニの神』にて、手からピストルを取り落とす様子を「電気に打たれたように」という表現を使っています。

見澄ます【みすます】

注意深く、よく見ること、見極めることです。

バンド

英語で、帯のことです。体に巻き付け、衣類を固定する機能を果たす物のことです。
ただし、劇団ののは、ここではズボンのベルトかズボン吊り(サスペンダー)を指しているのではないかと考えています。

Wikipedia

燃えさし

途中まで燃えること、燃え切らずに残ることです。「燃え止し」と表記することもあります。

浮かめる

「浮かむ」という動詞の活用形です。現代語で「浮かむ」は「浮かぶ」、「浮かめる」は「浮かんでいる」または「浮かべる」という意味です。

クラ闇

暗闇のことです。

参考文献

参考リンク

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