小泉八雲「雪女」|作品に登場する語彙の解説

コラム
雪女
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小泉八雲の短編『雪女』に登場する、ちょっと難しい言葉の意味を調べてみました。

劇団ののは、言語学や歴史学のプロフェッショナルではありません。
様々な文献や辞書をあたったり、プロフェッショナルの方に手助けをいただいたりはしていますが、あくまでも自力で調べ物をした結果を掲載しています。誤った情報が含まれている場合がありますので、ご注意ください。
また、調べ物をした結果、真実が突き止められないこともあります。
ご了承ください。

武蔵の国【むさしのくに】

明治になって都道府県が置かれる前の国名です。東京都・埼玉県から、神奈川県の一部が含まれます。
今でも、武蔵野市、武蔵村山市、武蔵小杉など、「武蔵」がつく地名が多く残っています。
人口の多い地域でした。
雪国であることから、ついつい東北や新潟などをイメージしてしまいますが、作中に「武蔵の国」とあるため、関東地方であることが分かります。
この作品では木こりがいたり、雪が深かったりすることから、山がちな東京都の西側のあたりであると推測されます。
現在では、東京都青梅市(旧・西多摩郡の調布村)に伝わる伝説であるという説、東京都調布市(旧・北多摩郡の調布村)であるという説が有力です。どちらも多摩川が流れており、現代では温暖な気候ですが、江戸時代にはプチ氷河期も到来しており、合致すると言えます。

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木こり【きこり】

「樵」とも書きます。
材木などに使うための木を切る仕事をしている人のことです。伐採する木を見定めたり、安全に木を切り倒すためには、専門の知識や技術が必要です。

時分【じぶん】

おおよその時期や時刻、またはちょうどよい時期のことです。

年季奉公【ねんきぼうこう】

期間を決めて主人に仕える働き方です。
修行の意味合いもあり、年季が明ける(決めた期間が終わる)と、働き先を変えたり、独立したりすることができました。
多くは住み込みで、日用品は支給されますが、給料は、支払われないか、僅かな額だったようです。

二里【にり】

「里」は、昔の距離の単位です。
1里=4kmですので、2里は8km。比較的近くの森であるようです。

渡し船【わたしぶね】

港や川、湖などにで、両岸を往復して荷物や人を運ぶ舟のことです。
橋を架けるのが難しい場所では一般的な交通手段でした。
渡し場には渡し守が常駐していて、渡し守に運賃を払い、乗せてもらいました。

渡し場【わたしば】

渡し船が泊まる場所です。簡単なお茶屋さんが併設されていることもありました。

僥倖【ぎょうこう】

予想外の幸運、ラッキーなことです。

火鉢【ひばち】

中に灰を入れ、炭火で暖を取る暖房器具です。お湯を沸かすなど、簡単な調理もできます。
陶や木、金属などで作られています。

一方口【いっぽうぐち】

一つの方にだけある出入口のことです。出入口が1つしかないということは、一間しかないということです。

蓑【みの】

わらを編んで作ったレインコートです。
水をはじき、風も通すので、着心地は意外と良かったようです。ただ、かさばるのと、燃えやすいのが難点でした。

和船【わせん】

日本で発達した船のことです。
木製で、甲板がなくお椀型をしているのが特徴です。
櫓(オール)で漕いだり、帆で風を受けて進みます。
水が溜まりやすく外洋に出るには適さないため、幕末以降は洋船に取って代わられました。

一刻一刻【いっこくいっこく】

「刻」は、陰暦でもちいられた時間の単位です。
季節によって変わりますが、二時間前後です。
「一刻一刻」は、通常「刻一刻」といい、時間が経つにつれて、という意味です。

無理押し【むりおし】

強引に物事を押し進めることです。

雪明かり【ゆきあかり】

積もった雪に月光、灯火などが反射し、夜でも周囲が明るく見えることを言います。

白装束【しろしょうぞく】

真っ白な着物のことです。死んだ人に着せるほか、結婚式の際に女性が着ます。
「全く白装束」なので、着物も帯も、着ているものすべてが白かったようです。

Wikipedia
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真っ白な着物のことです。死んだ人に着せるほか、結婚式の際に女性が着ます。
「全く白装束」なので、着物も帯も、着ているものすべてが白かったようです。

害(す)【がいす】

傷つけたり、殺したりすることです。

達者【たっしゃ】

ここでは、病気や怪我がなく、元気なことです。

女中【じょちゅう】

江戸時代、裕福な武家や農家で雇われていた使用人のことです。多くは住み込みでした。

約束の夫【やくそくのおっと】

結婚の約束をしている男性、つまりいいなづけや婚約者のことです。

眼も口ほどに物を言い【めもくちほどにものをいい】

現代では「目は口ほどにものを言う」と表現することわざです。
言葉に出さなくても、表情を見れば思っていることがわかる、裏を返せば、言葉でごまかそうとしても、目の表情から本心が読み取られてしまう、という意味です。
小泉八雲の原文ではローマ字で「Kiga areba, memo kuchi hodo ni mono wo iu」と書かれ、その直後に英語で意味が説明されています。

立居振舞【たちいふるまい】

立ったり座ったりするときの動作、広くは生活するときのさまざまな所作です。その人の上品さや卑しさがあらわれます。

そんなによかったので

少し変った表現(言い回し)のように感じられます。
原文(英語)では「O-Yuki behaved so nicely that Minokichi’s mother took a sudden fancy to her」という文になっていました。直訳すると、「巳之吉の母がすぐに彼女を好きになってしまうほど、お雪は良く振る舞い、」となります。
訳者は、「so nicely that」の部分を抜き出して「そんなによかったので」と訳したと考えられます。

行燈【あんどん】

「行灯」とも書きます。日本の伝統的な照明具です。
円形、または四角の木や竹の枠に和紙を張り、中に油皿を置いて、火をともします。
床の上に直接置く物、天井から吊す物、足が付いている物、店先の路上に出す物など、様々な形があります。

針仕事【はりしごと】

裁縫、縫い物のことです。

わし

現代では方言以外ではおじいさんが使うイメージがありますが、江戸時代には年齢に関係なく、様々な身分の人が使っていました。

棟木【むねき】

家の、棟、屋根の一番高い部分に取り付けられる木材のことです。傾斜した屋根の面と面が交わる部分を棟と呼びます。
右図の「h」の部分です。
棟木を取り付ける「棟上げ」が終了すると、家の骨組みが完成したことになるので、建築工程の1つの節目として「上棟式」などをして祝う習慣があります。
「むなぎ」「むねぎ」「むねき」などと呼びます。

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煙出し【けむりだし】

日本家屋において、屋根に付けられた簡易な窓のことです。
囲炉裏や台所の煙や煤が天井に上って行った後、屋外に出て幾ための換気口です。
農家の茅葺き屋根は、屋内で焚く火の煙や煤によって丈夫になり、虫除けや痛み防止になったようです。

参考文献

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