土田耕平の短編『狐に化かされた話』に登場する、ちょっと難しい言葉の意味を調べてみました。
劇団ののは、言語学や歴史学のプロフェッショナルではありません。
様々な文献や辞書をあたったり、プロフェッショナルの方に手助けをいただいたりはしていますが、あくまでも自力で調べ物をした結果を掲載しています。誤った情報が含まれている場合がありますので、ご注意ください。
また、調べ物をした結果、真実が突き止められないこともあります。
ご了承ください。
模様形【もようがた】
一部、工芸品や生物の分類において「◯◯模様を持つタイプ」という意味で「◯◯模様型」という言葉が使用されますが、一般的には使用されません。 ここでは、「模様、そして形」ぐらいの意味であると考えられます。
一つ夜具【ひとつやぐ】
一緒に、同じくすることです。「一つ屋根の下で暮らす」などという言い方をします。 ここではおばあさんと太郎が2人でひとつの布団を使用をしていることをさしています。
小屋掛け【こやがけ】
仮小屋を造ることです。特に、芝居や見世物の小屋を造ることです。
また、その小屋そのもののことをさすこともあり、ここではそちらの意味です。
野良仕事【のらしごと】
農作業のことです。
すきずき
作者特有の言葉で、混雑していない状態を「空き空き(すきずき)」と表現しているものと考えられます。
「夜ふけのことでお湯はもうすきずきしていました。おばあさん達はゆっくりと身体をのばして湯槽にひたりました。湧き出る湯の量が多いから、町の洗湯のように垢汚のしていることはありません。」 という文章で、湯が汚れていないということを言っているので「透き透き」という想像も成り立ちます。
しかし、直後にある文章がゆっくりと体を伸ばして湯に浸かったことを言っているので、混み具合の話ではないかと推測しています。
お分かりになる方がいたら教えていただけましたら幸いです。
町の洗い場【まちのあらいば】
市街地にある銭湯など公衆浴場のことをさしています。
湯尻【ゆじり】
温泉には、「湯口」と「湯尻」があります。浴槽の中の、湯が湧き出ている場所を湯口と言い、端へ行くほど「湯尻」に近付きます。
湯口の方が温度が高く、湯尻へ行くほどぬるくなります。
湯殿【ゆどの】
浴室や風呂場のことです。
行灯【あんどん】
「行灯」とも書きます。日本の伝統的な照明具です。円形、または四角の木や竹の枠に和紙を張り、中に油皿を置いて、火をともします。
床の上に直接置く物、天井から吊す物、足が付いている物、店先の路上に出す物など、様々な形があります。
十町【じっちょう】
昔の距離の単位です。1町=109.9mなので10町は約1kmほどです。
二三尺【にさんじゃく】
昔の長さの単位「尺貫法」に基づく測り方です。1尺=約30cm。2尺は60cm、3尺は90cmほどです。
提灯【ちょうちん】
日本の伝統的な照明器具で、細い竹の骨に和紙を貼り、中に蝋燭を入れます。
現代でも、お祭りの屋台や、居酒屋や蕎麦屋の軒先きに使用されています。
ここでは、手で持って歩くタイプです。現代で言う懐中電灯の役割です。
藁小屋 【わらごや】
刈り取って干した藁を入れておく納屋のことです。 藁でできている小屋のことではないようです。
溜桶【ためおけ】
何かを溜めて置いておき、また時々運搬する際に使用する桶のことです。
例えば、消防用に雨水を溜めておく、肥料として糞尿を溜めておく、または醸造場での酒や醤油を入れておくために使用されます。
農道なので、肥料ではないかと考えられます。
お題目を唱える【おだいもくをとなえる】
お題目というのは、日蓮宗の法華経(お経)、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」のことです。
仏教を心から信仰していないのに口先ばかりお経を唱えることになぞらえ、言葉ばかりのしらじらしい目標やスローガンを掲げることを揶揄して「お題目を唱える」と表現することがあります。
ただし、この女性たちは皆、助かりたい気持ちで本気でお経を唱えています。
板小屋【いやごや】
木材の板で作った小屋のことです。
やがて、近代化に伴い、おばあさんたちの入っていたお湯の簡易な板小屋も、レンガ作りになったようですね。
参考文献
- Wikipedia
- 日本国語大辞典