江戸川乱歩の短編『指環』に登場する、ちょっと難しい言葉の意味を調べてみました。
劇団ののは、言語学や歴史学のプロフェッショナルではありません。
様々な文献や辞書をあたったり、プロフェッショナルの方に手助けをいただいたりはしていますが、あくまでも自力で調べ物をした結果を掲載しています。誤った情報が含まれている場合がありますので、ご注意ください。
また、調べ物をした結果、真実が突き止められないこともあります。
ご了承ください。
御見それ【おみそれ】
「御見逸れ」とも書きます。以前に会ったことのある人なのに、見かけても気づかなかったり、会っても誰だか分からなかったりすることです。
「おみそれいたしました」と言う場合には、「すみません、あなただと気付きませんでした」「いやぁ、これは一本取られましたな」「見当違いです、みませんでした」などを表現します。
一等車【いっとうしゃ】
昭和35年まで、客車は一等・二等・三等の3等級に分けられていました。等級が高いほど内装やシートが豪華で余裕がありました。
二等客車がグリーン車、三等客車が普通車に相当し、一等客車に当たるものは現在、通常の列車にありません。一等客車は主に上流階級の人が利用しました。シートはふかふかしたソファーのようなロングシートが多かったようです。
貴婦人【きふじん】
社会的身分の高い女性を表します。転じて、お金持ちの家の女性、上品な女性のことをさすこともあります。
うるさ(い)
音が大きいことによく使いますが、ここでは、しつこい、細かいところまで気にする様子を表します。
左様然らば【さようしからば】
武士などが使った、相手の発言を受けて「左様」(そうですね)と言ったあと「然らば」(それならば)と話を切り出すような、古風な言い回しのことです。
江戸時代には「世の中は 左様然らば 御尤も さうで厶るか 確と存ぜぬ」という狂歌があり、この5つの言葉さえ知っていれば、世の中を無難に渡っていける、と謳われました。「左様然らば」は、格式張った言い方であると同時に、無難にやり過ごそうとする表現でもあります。
腐れ蜜柑【くされみかん】
文字どおり、腐っている状態を表す言葉ですが、「腐れ坊主」のように、人や物をののしるのに使うこともあります。「腐れ蜜柑」には両方の意味が込められているのかもしれません。
あにはからんや
意外にも、そんなことを考えもしなかったが、という意味です。
お笑い草【おわらいぐさ】
「お笑い種」とも書きます。ばかばかしくて、物笑いの種にされることです。
暇【ひま】
現代では何の予定もない自由な時間を指すことが多いですが、何かをするのに必要な時間、という意味もあります。
手柄顔【てがらがお】
手柄を自慢するような顔つきです。現代風に言うと「ドヤ顔」でしょうか。
吹聴(する)【ふいちょうする】
たくさんの人に言いふらすことです。
食わせもん【くわせもん】
「食わせ者」が変化した言い方です。見た目だけでは分らない、油断のならない人のことです。
おかし(い)
「おかしい」には、笑いたくなってしまうような面白さという意味と、普通ではない異常さという意味があります。この文脈では、「こんな大変な状況なのに、面白くなってしまった」という意味にも「こんな状況になり、頭が変になってしまった」という意味にも取れます。
ざまあねえ
「様は無い」が変化した言い方です。格好がつかない、みっともない、という意味です。
面妖【めんよう】
不思議であること、奇妙であることです。
煙草入れ【たばこいれ】
煙草を持って歩くためのポーチです。
キセルを使っていた時代は、キセルに入れる刻みたばこを入れました。
和服の帯の背中側に提げることが多かったようです。
参考文献
参考リンク
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