江戸川乱歩「指環」|作品に登場する語彙の解説

江戸川乱歩『指環』 ことば調べ
指環
ことば調べ

江戸川乱歩の短編『指環』に登場する、ちょっと難しい言葉の意味を調べてみました。

劇団ののは、言語学や歴史学のプロフェッショナルではありません。
様々な文献や辞書をあたったり、プロフェッショナルの方に手助けをいただいたりはしていますが、あくまでも自力で調べ物をした結果を掲載しています。誤った情報が含まれている場合がありますので、ご注意ください。
また、調べ物をした結果、真実が突き止められないこともあります。
ご了承ください。

御見それ【おみそれ】

「御見逸れ」とも書きます。以前に会ったことのある人なのに、見かけても気づかなかったり、会っても誰だか分からなかったりすることです。
「おみそれいたしました」と言う場合には、「すみません、あなただと気付きませんでした」「いやぁ、これは一本取られましたな」「見当違いです、みませんでした」などを表現します。

一等車【いっとうしゃ】

昭和35年まで、客車は一等・二等・三等の3等級に分けられていました。等級が高いほど内装やシートが豪華で余裕がありました。
二等客車がグリーン車、三等客車が普通車に相当し、一等客車に当たるものは現在、通常の列車にありません。一等客車は主に上流階級の人が利用しました。シートはふかふかしたソファーのようなロングシートが多かったようです。

Wikipedia

貴婦人【きふじん】

社会的身分の高い女性を表します。転じて、お金持ちの家の女性、上品な女性のことをさすこともあります。

Wikipedia

うるさ(い)

音が大きいことによく使いますが、ここでは、しつこい、細かいところまで気にする様子を表します。

左様然らば【さようしからば】

武士などが使った、相手の発言を受けて「左様」(そうですね)と言ったあと「然らば」(それならば)と話を切り出すような、古風な言い回しのことです。
江戸時代には「世の中は 左様然らば 御尤も さうで厶るか 確と存ぜぬ」という狂歌があり、この5つの言葉さえ知っていれば、世の中を無難に渡っていける、と謳われました。「左様然らば」は、格式張った言い方であると同時に、無難にやり過ごそうとする表現でもあります。

腐れ蜜柑【くされみかん】

文字どおり、腐っている状態を表す言葉ですが、「腐れ坊主」のように、人や物をののしるのに使うこともあります。「腐れ蜜柑」には両方の意味が込められているのかもしれません。

あにはからんや

意外にも、そんなことを考えもしなかったが、という意味です。

お笑い草【おわらいぐさ】

「お笑い種」とも書きます。ばかばかしくて、物笑いの種にされることです。

暇【ひま】

現代では何の予定もない自由な時間を指すことが多いですが、何かをするのに必要な時間、という意味もあります。

手柄顔【てがらがお】

手柄を自慢するような顔つきです。現代風に言うと「ドヤ顔」でしょうか。

吹聴(する)【ふいちょうする】

たくさんの人に言いふらすことです。

食わせもん【くわせもん】

「食わせ者」が変化した言い方です。見た目だけでは分らない、油断のならない人のことです。

おかし(い)

「おかしい」には、笑いたくなってしまうような面白さという意味と、普通ではない異常さという意味があります。この文脈では、「こんな大変な状況なのに、面白くなってしまった」という意味にも「こんな状況になり、頭が変になってしまった」という意味にも取れます。

ざまあねえ

「様は無い」が変化した言い方です。格好がつかない、みっともない、という意味です。

面妖【めんよう】

不思議であること、奇妙であることです。

煙草入れ【たばこいれ】

煙草を持って歩くためのポーチです。
キセルを使っていた時代は、キセルに入れる刻みたばこを入れました。
和服の帯の背中側に提げることが多かったようです。

参考文献

参考リンク

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