田中貢太郎「狸と同棲する人妻」「狸と俳人」|作品に登場する語彙の解説

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狸と同棲する人妻/狸と俳人
ことば調べ

田中貢太郎の短編『狸と同棲する人妻』『狸と俳人』に登場する、ちょっと難しい言葉の意味を調べてみました。

劇団ののは、言語学や歴史学のプロフェッショナルではありません。
様々な文献や辞書をあたったり、プロフェッショナルの方に手助けをいただいたりはしていますが、あくまでも自力で調べ物をした結果を掲載しています。誤った情報が含まれている場合がありますので、ご注意ください。
また、調べ物をした結果、真実が突き止められないこともあります。
ご了承ください。


山形県最上郡豊田村【やまがたけん もがみぐん とよだむら】

実在した村で、1952年に鮭川村に吸収合併されました。

行商人【ぎょうしょうにん】

商品を背負ったり荷車に積んだりして、道ゆく人に売り歩く商人のことです。

酒店などのように決まった家を訪問して注文を取って配達するのとはまた違う形式です。

行商品は市街地を練り歩きながら、「豆腐〜、豆腐〜いっ!」「竹屋〜、竿竹〜!」などと節をつけた声で呼び込みを行ったり、ラッパを吹いたりしました。家の中にいて、行商人が来ることがわかると、購入したい人は、カゴやザルや鍋を持って外に出て、売り子に声をかけ、商品を持ち帰りました。

日本では、江戸時代から昭和の頃まで代表的なスタイルの一つで、豆腐、炭、化粧品、薬、魚、あさり、しじみ、金魚、風鈴など様々な物を売りました。平成中期ぐらいまでは、東京の市街地でも夕方頃に豆腐屋のバイクなどがラッパを鳴らしながら走っていました。現在、都市でも見かけるのは、ラーメン屋や焼き芋の屋台でしょう。

棍棒【こんぼう】

人間が手に持って振り回し、相手を殴打して攻撃するための武器です。

木を削っただけの物や棘やコブなどを付けて強化した物も存在します。「鬼に金棒」という言葉がありますが、よく「桃太郎」の絵本に登場する鬼が手にしているのも、棍棒の一種といえます。

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無法漢(むほうもの)

無法者と同様の意味です。

法律や、社会の秩序を無視して横暴な振る舞いを行う者のことを言います。「漢」という字が当てられていますが、伝統的には、多くの場合、男性に対して使用されることが多い言葉です。

夢遊病者【むゆうびょうしゃ】

眠っているにもかかわらず、浅い眠りにより、脳の一部が覚醒した状態で、喋ったり、寝床から起き上がって歩き回るなどの行動をとることを、いわゆる夢遊病と呼びます。

ここでは夢遊病にかかっている者を夢遊病者と呼んでいますが、この話の中では、心ここにあらずといった様子でウロウロと歩き回っている仁蔵のことを、比喩としてそのように表しています。

安永年間【あんえいねんかん】

安永とは、1772年から1781年までの期間をさします。

伊勢大廟【いせたいびょう】

三重県伊勢市にある神宮(通称:伊勢神宮)の別の呼び名です。

大廟とは、天子(帝王や天皇など)や諸侯(君主や大名など)の始祖が祀られる場所=「みたまや」のことで、伊勢神宮の社殿の異称でもあります。

内宮領から外宮領に至る裏道【ないくうりょうからげくうりょうにいたるうらみち】

伊勢神宮には、外宮=豊受大神宮(とようけだいじんぐう)と、内宮=皇大神宮(こうたいじんぐう)があります。

慣わしでは外宮から参拝し、五十鈴川(いすずがわ)の宇治橋を渡り、内宮を参拝するという順番になります。2つを結ぶ御木本道路(みきもとどうろ)があります。

蓮台寺

かつて、上記の御木本道路には、鼓岳山蓮台寺(つづみだけれんだいじ)という寺がありました。明治時代に廃寺となり、現在は跡だけが残っています。そこでとれる柿は蓮台寺柿と呼ばれ、今でも伊勢の名産品となっています。

籠居【ろうきょ】

家の中に閉じこもっていて、あまり外に出ないことです。

昔の長さの単位「尺貫法」に基づく測り方です。1尺=約30cm。2尺は60cm、3尺は90cmほどです。

書見【しょけん】

本屋や文書など、読書をすることです。書物を置いて読むための台を書見台と呼びます。

殊勝・殊勝がる【しゅしょう・しゅしょうがる】

殊勝は、行動や心掛けなどが感心できるものであること、けなげである様子などをさします。

殊勝がるとは、他者のそのような様を見て、けなげに思うことをさします。

悄然【しょうぜん】

元気がなく、しょげている様子を表す言葉です。

忽然【こつぜん】

にわかに、突然、という意味です。

不文律【ふぶんりつ】

明言されていない、またははっきりと文章で示された決まりではないが、効力を持つ規則や習わしのことをさします。

また、転じて、暗黙のうちに皆が認識・了承して、したがっている決まりや慣習をさします。

爾来【じらい】

その後、それ以来、という意味です。

参考文献

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