芥川龍之介「秋」|正面切って喧嘩しない登場人物たち

稽古場日記
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前回までの稽古の様子はこちらから!

のあのえる、途中から合流しました。

  • ラストシーンが風景で終わるのは「竹の木戸」の時と同じ
  • ラストはモヤモヤしたまま終わるね
  • タイトルは「秋」の話だけどオールシーズン出て来るし、1年以上の物語
  • 正面切って喧嘩しないのは日本的? それとも江戸時代と比べて近代化したから?
  • 信子の夫は文学を理解していなさそう
  • 信子と夫は東京では別行動?
  • 主要な登場人物の中で夫だけ名前がないね
  • 信子は家事が苦手なのかな?
  • 夫はちゃんと関西のコミュニティーに馴染んでうまくやっているよね
  • 俊吉みたいな人って結構、周りにいるよね
  • いとこ同士で結婚ってできるの?

などなど、色々と話し合いました。

ラストシーンは風景で終わるんだね

梅田:『竹の木戸』もそうだったじゃない? なんかこう、サーッと渋谷村全体の雰囲気みたいな。これは、地上から、空に向かっててさ。

のあ:樋口一葉の『たけくらべ』も、最後、花街の室内の空間の一輪挿しの映像から、グッと引いた外の世界の伝聞の話で終わるんだよね。

梅田:これは手法なのかね。

のあ:カメラをグッと外とか、上とかに向けるような終わり方の小説、確かに、多いかもね。

梅田:僕やっぱりそういうの考えちゃうね。気になっちゃう。

のあ:映像的な手法なのかもね! アニメの『アンパンマン』も最後、「じゃじゃじゃーん♪」ってエンディングの音楽流れて、夕焼けの山並みとかで終わるね(笑)

スズキ:『アンパンマン』(笑) 大河ドラマとかもそういうの多いかも。

のあ:1回明るいところから暗い所に行ったり、大きい所から細かい所に寄ったりね。映画の手法って文学から来てる感じあるよね。今、うちでは音声で忠実に再現するっていう活動してるけど、誰か、映像で忠実に再現するっていうの、やってしてほしいね。

梅田:ただこれ、話してたのはね、映像化するにしても、「綺麗な秋じゃないね」って話してたの。柿とか栗とか紅葉とかじゃなくて。黄ばんだ、秋の空。薄濁ってるから。

のあ:フランドル画の風景画みたいな淋しい感じだな。灰色と黄色が混じっているね。

梅田:もう、どんよりしちゃう。次はさ、花火が打ち上がるぐらい明るい物語にしよう。

のあ:この時代の文学って、ハッピーな話がなかなか無いよね。あったっけ。

スズキ:あ、無いね。思い浮かばないよ。

のあ:『舞姫』とか最悪だもんね。

梅田:最悪だね。

秋だけど秋だけの話じゃない

のあ:これ、「秋」って言っておきながらさ、結構長いスパンの話だよね。2年ぐらい経ってるね。

スズキ:そこが『竹の木戸』と違うね。あれは数ヶ月の話だから。

のあ:作品通して秋みたいなイメージ持ちがちだけど、実は結構、春、夏、秋、冬って一巡してて、それぞれの季節の話、してるんだけどね。

スズキ:でもさぁ、出て来る植物が松とか、ずっと夏も冬も真っ黒で、変わらないものがあるから。ずーっと、信子のつまらなさとか生活の単調さを出して来るじゃん? だから季節感とか時間の流れを感じ辛いんだよなぁ。

のあ:たしかに。

「秋」はモヤモヤしたまま終わる話

梅田:僕はねぇ、『竹の木戸』の話よりも、なんかすっごい、モヤモヤするの、これは。

スズキ:『竹の木戸』は、磯吉以外、わりと人間らしい感じがしたんだけど。

のあ:大庭家は、植木屋夫婦を切り離して、今後も何事も無かったように幸せに暮らしていくんだろうな、っていう、ハッピーエンドが半分残っている感じだったのかな。お源だけちょっと可哀想だったけれども。

スズキ:あれは、磯吉という特殊な人間による一時的な災害のお話だった気から。でも、こっちは、みんながみんな、解って行動した故のディザスターという風に見える。

のあ:お源もちょっとバカっぽい所があったもんね。自業自得っぽい所というか。解ってなくて体当たりで行動してる部分が。

スズキ:『秋』に出て来る人たちは、自分の投げた石がどんな波紋を呼ぶか解った上で行動してるから。そこがなんかなぁ。

戸塚:あ。『竹の木戸』の話は、ある程度、オチみたいなものが付いてるんだけど。『秋』は、俊吉に関してはちょっとよく解らないけど、姉妹中心に、みんなモヤモヤしたものを抱えたまま終わっている所が、ちょっとなぁ。

スズキ:なるほどね!

のあ:『竹の木戸』は、人間関係が2つ、完全にぶっ壊れて、縁が切れてるからね。そもそもお源が死んで夫婦関係が壊れるし、磯吉は大庭家と縁が切れて引っ越すし。でも、『秋』の人たちは、関係性の、と或る一部分は壊れたかもしれないけど、表面上の付き合いが続いちゃいそうな余韻があって。

スズキ:『竹の木戸』はフラストレーションが一度、爆発してるからね。『秋』でも、照子がもっとぶっちゃけたりしたら、スッキリしたのかもしれない。

梅田:照子はね、虫をね、あのヨコバイを! 潰せば良かったんだよ! ピシャンとね。それか、鶏が卵投げ付けるとか。「浮気してんじゃねーぞ!」って。それか、もう自死するか。そしたらスッキリするよ!

スズキ:激しいなぁ(笑) 俊吉と信子が庭から戻って来たら、照子が死んでるのか。

のあ:大量のヨコバイを食べてね。むしゃむしゃー!

梅田:え、ヨコバイ、家の中にそんなにいっぱいいたの?(笑)

のあ:信子も爆発すれば良かったんだよね。

スズキ:「譲ったんじゃねーよ、安全パイに逃げたんだよ! 金持ってる男と結婚したけど俊吉が良かったと思ってるんだよ!」って。爆発しないからだよね。

のあ:そっか、お源は1回、磯吉に対して爆発してるのか。泣いたりとか。爆発したのにダメだから、死んでるっていう、諦めがあるからね。

スズキ:そうそう、解決しようとしてるから。照子は翌日も平静を装おうとしてるじゃん。

のあ:でもこれがわりと現実じゃない? 『竹の木戸』みたいなことってなかなかないじゃん(笑)

スズキ:『竹の木戸』な日常はイヤだよ(笑)

国木田独歩 竹の木戸 (上) - 劇団のの 朗読・ラジオドラマ|Doppo Kunikida "The Bamboo Gate" 1/3 – Japanese Reading

正面切って喧嘩しないのは近代化の証拠?

スズキ:日常だからこそ、リアルで、なんかイヤなんだろうね、生々しくて。

梅田:そうそう。それなのよ。何回か、喧嘩したのに、翌朝、何事もなかったようにする場面、よく出て来るじゃない?

スズキ:夫と信子もそうだし、照子と信子もそう振る舞うね。

のあ:わたしね、そういうのできないかもしれない。「朝が来たから」「寝て起きたから」っていう理由で、話し合いに決着が着いてないのに、切り替えようと思ったことがないかもしれない。納得するまでは。翌朝も、続きを話しちゃうような気がする。「昨日のこと、わたしも悪かったけど、あなたはここに関しては謝ってほしいんだけど」って(笑)

梅田:僕もそうなのよ。理屈っぽいから。何か一緒にやる人と、モヤモヤはしたままやりたくはないじゃない? でも多分、この人たちは、本当に仲良くなってなくて、お互いを取り繕ってるから、そこで切り替えができちゃうんじゃないかな、って僕は思った。

スズキ:波風を立てないようにしているっていう。

梅田:うん。気に入らないポイント話し合ってまで一緒にいたい間柄じゃないのかな。

のあ:どうなんだろう、これって日本的ってことなのかな。なんか、現代だと、「ハッキリ言うのは欧米風の考え方で、ぼかすのは日本風なイメージ」っていうのがあるけど。この人たちは近代化してるってことなのかな。

スズキ:あ、どうなんだろうね。江戸時代には、ハッキリ言うのが文化なのかもしれない。だって、これ『竹の木戸』のお徳とお源だったら、黙っちゃいないでしょ?

梅田:そうね。「あんたぁ! 俊さんと庭にいたらしいじゃないか!」「まぁ勘弁しておくれよ!」ってね。目で殺し合っちゃうからね。

のあ:元はそっちが日本的ってことか。っていうと、近代化の象徴である大庭家に近いメンタリティーなんだろうか。お清さんとか真蔵とかみたいな。事なかれ主義に寄っているというか。

スズキ:ノーブルな人たちなんでしょうね。

梅田:そりゃそうでしょう。間違いなくノーブルな人たちだよ、信子さんとか夫さんとか。

スズキ:女学校行った後、大学まで出ちゃってさ。一橋とか。エリートだよ。

夫には芸術がわからない

のあ:夫はエリートだけど、信子の趣味には理解が無いね。朝ドラの『花子とアン』を思い出すんだ。仲間由紀恵さんがやってた、作家の役があって。夫役が吉田剛太郎さんで、商売で成り上がったお金持ちだけど、元々そんなに教養が無いから、妻の趣味に理解が無くて。着物とかアクセサリーは買い与えるけど、妻がどんな芸術に興味を示して燃え上がっているのか、共有することができない。結局、妻は話が合う文学青年と駆け落ちするのね。

スズキ:夫婦だけど別の生き物みたいな感じだったんだろうね、お互いに。

のあ:そうかも。でも、ドラマの設定だと、彼なりに、妻のそういう面への憧れはあって、「俺は解ってやれないけど、あいつは本を読んでる時が一番幸せそうな顔をしているんだ」みたいな場面があるんだよね。

梅田:なんやねん! なんやねん!

スズキ:この夫もまぁ、信子の文学、最初の頃、応援してないわけではないもんね。

のあ:そうよね。よくわかんないけど応援してるみたいな。ただしさ、信子が、夫とは違う世界にいるとして。じゃあホントに俊吉と同じ枠の生き物なのか、信子が俊吉の世界に入れているのかっていうのは、また別の話だよね。

スズキ:まぁそうね、同じ文学なのか、っていうね。

信子と夫は別行動

のあ:すっごくどうでもいいことなんだけど、気になってることがあって。信子が俊吉と照子の家に泊まることになった場面あるじゃない? 「夜が更けて、とうとう泊まることになった」って。これ、どうやって夫はそれを解るのかな? 携帯かな? メールかな?

スズキ:あぁ、たしかにね!

のあ:現代だったらすぐ連絡して「今日泊まりになったー」とか言えるけど。この時代は何だろう? 時間決めてどこか喫茶とか旅館とか、電話あるところで電話入れるのかな。それか、「あれ? 妻、帰って来ないな。泊まりか!(納得)」ってなるのかな。心配じゃないのかな。

梅田:夫、忙しくしてるんでしょ。これは夫の出張について来たんでしょ、信子は。

スズキ:そもそも、東京に着いた後、別行動とか? 信子は実家にいて、そこから照子の家に来たとか。

のあ:別行動なの!?

スズキ:別行動なんじゃない?

梅田:夫はなんだか所用が沢山あって。構ってられないんじゃない?

のあ:構ってあげてよ(笑)

梅田:いやぁ、よくあるサラリーマンなんだと思うよ。そういう旦那を甲斐甲斐しくしく支えるのがいい妻、っていう。

夫だけ名前が無い

梅田:こないだね、かおりん(Caori)と一緒に帰っててね、電車の中で「3人は役名があるけど、梅ちゃんだけ名前が無いね。夫じゃん」って言われて。「そうだね、名前が無いね!」って話をしてたの。僕だけ名前が無いの。

のあ:じゃ、付けよう。何がいい? 駿介?

スズキ:俊吉と駿介か。

戸塚:登場人物の半分が俺みたいになるじゃん。

スズキ:紛らわしい〜(笑)

のあ:じゃあかおりんは戸塚信子か。

スズキ:俺の妻は照子でしょ。

のあ:あ、そうか。

スズキ:紛らわしい〜(笑)

梅田:かおりんとは、「夫に名前が無いのは、ジェネラリーな、オーディナリーな、概念としての「夫」なのかな」って話してたんだ。

のあ:そういう大事な話は、電車じゃなくて稽古でしてよっ(笑)

梅田:たしかに。すまんっ(笑)

スズキ:『竹の木戸』の「老母」とか、「細君」とかと同じポジションじゃないかな。役割の方が重要なんじゃない?

のあ:そう考えると、『竹の木戸』の「礼ちゃん」「金公」「初公」は、出てすら来ないくせになんで名前あるんだろうね(笑) あえて出て来ない癖に周辺環境にリアリティーを増幅させるためかなぁ。

スズキ:命名基準が不思議だよね(笑)

梅田:でもね、この作品の夫は、やっぱり名前を付けたらダメなんだよ。僕、それは解る。その人の個性とか人格とか考え方が大事な訳じゃないから。世間一般の、この時代の「夫代表」だからさ。

のあ:あ、そっか。それで解った。礼ちゃんのことって、「礼ちゃん」って呼び掛けなきゃいけないじゃん? 本人に。「おい、そこの子ども」って呼べないじゃん? 金公のことを「おい、友人A」とは呼べない。お徳のことも「おい、女中」とは呼べないんだよね? でも、「ご隠居様」「奥方様」「親方」「増屋さん」は、そのままそう呼べる。真蔵のことも、「旦那様」とは呼べるけど、真蔵にはパーソナリティーがあるから、名前が付いてるんだね。この『秋』の夫は「あなた」「旦那様」「主人」って呼べれば、誰であってもいいってことだよね。そこが命名するかどうかの差かもしれないぞ。

梅田:そうそう、この夫はいわゆる夫で、真蔵は、いわゆる夫じゃないんだよ。

スズキ:ちょっと、まんま、作者っぽいポジションだったもんね。

梅田:そう、なんか典型的ではない性格を有していたじゃない? もし明治然とした、「ひと言ったら、みんながいっせいに言うこと聞く」っていうような強い父であり夫だったとしたら、明治代表の「夫」って呼ばれるかもしれないけど。そういう人じゃないし。真蔵っていうキャラクターの特異さの方が色濃く表現されてて、そこが描写されてて。でも、この夫の行動は、さもありなんって感じ。

夫を演じるなら誰?

スズキ:じゃあ、夫に仮名付ける?

梅田:竹内涼真。

スズキ:出た(笑)

のあ:わたしはねぇ、昔だったら高嶋政伸さんとかだと思ってたの。でも今は凄いことになっているからなんか違うね。

梅田:あの人はもう妖怪の領域になっちゃったからね。ねぇ、あの人って、あんな人だった!?(笑)

のあ:あと、ちょっと年齢高いけど、チームナックスの安田顕さんとか。綺麗で神経質な感じの人がいいね。

梅田:牛乳鼻から吹き出す人か。

のあ:その情報無かった(笑) 同じチームだけど戸次さんでもいいね。

梅田:解るー。

スズキ:半沢直樹は?

梅田:あれはむしろ俊吉じゃないかな。

のあ:「半沢直樹」なら、むしろ滝藤さんが夫さんじゃないかな。

夫は案外地域に馴染んでいる

のあ:この関西人に対する描写、ひどくない? 「卑しい」ってさ。これは差別だよ。

梅田:これは完全に芥川龍之介の偏見でしょ(笑)

のあ:これって、前歯が抜けてて、赤いキャップ被って、ビニル袋持って、カニ道楽の前にいるおっさんのようなこと? 自動販売機の裏側とかからフラッと出て来るおじさんのこと?

梅田:ピンポイントだね。凄い解るけど。それこそ偏見でしょ(笑)

スズキ:でも、夫さんのさ、下卑た同僚たちと意外に話が合うっていうシーンあるじゃない?

のあ:あったっけ?(笑)

戸塚:え。あったっけ……?

梅田:あら、そんなのあったっけ?(笑)

スズキ:あったよ! あ、ここ、ここ。ほら、この神戸の、舞子に行った時のこと。同僚たちとうまくやってて。信子からすると相容れない、理解できない、イメージ悪い人物たちと、意外に上手くやっているっていうか「気が合うらしかった」って書いてある。

のあ:案外社交的というか。

梅田:うまくやってるんでしょ。

スズキ:きっと、飲んだくれて「うちの嫁がさぁ」とか言うタイプなんじゃないかな。

梅田:そういう人って大正時代からいたんだね。

スズキ:ホントそう! いたんだよ!

梅田:受け継いでいるね、サラリーマンの遺伝子を。

スズキ:脈々と!

梅田:脈々とねぇ〜。イヤだわぁ〜。

スズキ:「嫁のいる家は牢獄だよ!」「小説書いてて襟が無いんだよ!」って。

梅田:当時からいたのか。

のあ:THE☆みんなの夫なのか。

スズキ:国民の夫。国民的夫だよ。

梅田:それ、なんか急に良さそうじゃん(笑)

のあ:芥川は、そんな夫を、ダサいというか、つまらん男だと思ってたんだろうね。

スズキ:うん。芥川は、俊吉側の視点から、夫を否定的な描写していると思う。

のあ:でも裏を返せばさ、夫は大人だから地域にも社会にも馴染んでて、信子が幼いのかもよ?

信子にも弱点が

スズキ:信子ってちょっとダメ主婦だよね。家事できない系じゃないかな。

のあ:当時は家にいて、全部できないとダメだったんだろうね。わたしね、この時代に、家事が無駄にプロフェッショナル化されたと思っている。女性が家にいすぎて、アメリカの家電の広告とか、できる主婦の雑誌とか教本ができて、台所の設備が進化して、女学校が進化して。本来別にやらなくてもいい「やるべき」「すべき」「これがあるべき手本」っていうのが、ここでできちゃったんだと思う。現代も残っちゃってるし。

スズキ:「羽仁もと子」的な! ノウハウが蓄積されちゃったんだろうね。絽刺しとかね。

梅田:文学とかやっちゃってる時点で、ちょっと違う方に目が向いてるんだろうね。

スズキ:文学って、目に見える形で、生活に使い辛いからね。

梅田:文学やったら家事なんてできないよ。文学だもの。

スズキ:金にならないしな。

のあ:わたし、文学専攻だったんですが(笑)

梅田:あ、えっと、別に、何1つできないとは言ってないさ!(笑)

のあ:いやぁ〜結局できないんだなぁ〜(笑)

俊吉をどう演じるか

戸塚:俺は、俊吉演じる上では、信子のことは別に従姉妹であるとか、文学の話をしている、ぐらいの認識でいていいんですよね。

スズキ:そうじゃないかな。

戸塚:これ、照子のことを好きかどうかも解らないですよね。

のあ:芥川は「自分の妻になる女は芸樹に理解が無いぐらいで結構」って言ってるから、ちょっとバカなぐらいが可愛いとか思っているかもしれない。

戸塚:多分、凄い恋愛結婚とかじゃないと思うんだけど。

スズキ:物足りないとか、信子の方が良かったとかは、思ってないんじゃないかな。

戸塚:うん、思ってないと思う。もし、本当に信子の方が良かったって思ってたら、俊吉なら、2人きりになった時に、信子に直接それを言っちゃうと思うんだよね。ただね、解らないのは、こいつが発する思わせぶりな発言とかが、特に意味が無く言ってるのか、それとも、意味があって言ってるのか。このシーンは難しそうです。

スズキ:芥川は解ってる。芥川は解ってるんだけど、俊吉は解ってないんじゃない? そこだよね。

のあ:俊吉が……解ってやってるなら……1番怖い説だよね。

戸塚:そう、怖いんだよ。

スズキ:そう、それはゲスいんだよ!

のあ:戸塚は、どうやるのがやりやすいの? 演技としては。解ってるていか、解ってないていか。

梅田:これって、俊吉が解ってやってると、もうお話が終わっちゃう気がする。「悪いのはコイツだ!」って。

戸塚:そうそう。聞く側が「もしかしたらこいつ解ってやってるのか?」って思うぐらいが丁度いいと思う。

スズキ:こっちからそれを出しちゃうとね。全体的に思わせぶりで、結論を出さない感じじゃん?

戸塚:結論を出さないことが、この作品の意義なのかな、って。

梅田:やっぱジャパ〜ンだよ。

のあ:でも、照子は、意外に「お姉様も好きだけど、俊吉さんは貰います」って、結構正直に言っていているよね。手紙だけど。

スズキ:そこが、照子の純粋であり、従順であり、弱い所でもあり、強みでもあるね。

梅田:そしてそれを知っていて喜ぶ、信子。ジャパ〜ンだね。

スズキ:そしてそれを知っていて弄ぶ俊吉だったら、もう許せないよ。

のあ:そして更にそれを解っている鶏。

梅田:鶏! 可哀想に! そりゃもう、2人が庭に来たら、寝たふりだよ(笑)

のあ:それか、母が黒幕だったら怖くない? 信子に縁談を持って来て、照子と俊吉をくっつけて、信子にそれを知らせる。

梅田:いいね、ホラーだね。

リアル俊吉の生態

のあ:最近ね、心理を知りたいと思って、俊吉っぽいやつ3人ぐらいと友達になったんだけど。

梅田:お。どうだった?

のあ:やつらはやっぱり酒を好むね。

梅田:やっぱそうなんだよ。やつらには、酒なんだよ。

のあ:あと、やたら桜を見たがるね、この時期。

梅田:どうせね、夏になったら花火、秋になったら紅葉を見たがるよ、多分。そんで、冬になったら雪見したがるんだよ。理由なんて何でもいいんだよ、風流だったら。彼らが見たいのは、酒飲んでる自分だから。

スズキ:うわぁ。

のあ:よく解ってるね、その通りなんだよ。

梅田:俊吉はそういうやつだから。

のあ:あとまぁ、女たらしというよりは、本当に、根っからの人たらしだね。

梅田:そうそう、女だからって訳でもないんだよね、やつらは。

スズキ:やつらはね。人ったらし、解る。解るなぁ。

のあ:楽しそうでいいな、と思った。あんまり先のこととか考えてないっぽい。

スズキ:風来坊なんだね。

のあ:そう、その場が楽しくて、ほろ酔いで、桜が綺麗だったら、見たがるんだよ。見てる間が浮かれてて幸せなだけだから。

スズキ:だから、月見たくなるんだね。「いい月だよ」って、庭に行って、思い付きで鶏小屋見るんだろうね。全部気分なのかな。

従姉妹って結婚していいの?

スズキ:いとこだけど照子は俊吉と結婚できるのか。

戸塚:たしか、従姉妹は大丈夫なはず。

のあ:従姉妹っていいんだ! 現代でも?

スズキ:4等親離れてるのかな。おじさんはダメで、おじさんの子は大丈夫なんだよ。

梅田:ずーっと従姉妹同士が結婚する村とか、やばそうだね。そういう村さ、金田一耕助とかに出て来そう。従姉妹とは結婚しないなぁ、今の価値観で言ったらね。

のあ:親戚 of 親戚だもんね。

スズキ:今と親戚の捉え方が違うのかもね。

参考リンク

作品の視聴、他の記事へのリンクはこちらから↓

作品に登場する古い言葉、難しい言葉の読み方や意味の解説はこちらから↓

作品本編はYouTubeでも配信中↓

芥川龍之介 秋 第1話 - 劇団のの 朗読・ラジオドラマ|Ryunosuke Akutagawa "Autumn" 1/4 – Japanese Reading
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