芥川龍之介「秋」|日常で「ぜ」って言う人います?

稽古場日記
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今回は、第二話の、信子と夫の会話、そして第四話の俊吉を練習しました。

  • 信子が、急に化粧をしたり夫に媚びたりするのは、俊吉への浮気心から?
  • そんな表面上、従順になった信子に、夫が優しくなる
  • なんで、この話にはなんども「松林」が登場するんだろう?
  • 好きな人が義理の弟になるって、すごい話だよね
  • 俊吉の「待っているんだぜ」って…日常で「ぜ」って言う人います?
  • 照子の「どうして。」は「Why?」じゃなくて「What happened?」

などなど、朗読のやり方も含めて、おしゃべりしました。

夫と信子の新婚生活 雲行きが怪しくなって来ました

スズキ:じゃあ、次。夫が酔っ払って帰って来て、ややモラハラ化してくる場面を。

のあ:「今夜は僕が帰らなかったから、よっぽど小説がはかどったろう」ってとこね。さっきの読み方、良かったね。

吉田:うん、むかついたもん。

スズキ:でもちょっと「死にかけのおじいちゃん」感はあったね。

梅田:解ってる。語尾の「たろう?」のとこでしょ。「おじいの引き出し」がちょっと開いちゃったのよね。

のあ:でもさ、ココこそさ、大泉洋でいいんじゃない?

梅田:え! これ大泉でいいの!?

スズキ:自覚ないのかもしれないけど、もう大泉だったよ。

梅田:え、もうなってたの!?

スズキ・のあ・吉田:うん、なってたね。

梅田:あ、そう。

吉田:その「あ、そう」が既にそうなんだよな。自覚ないのかー。

梅田:ないね。やばいね。大泉の引き出しは、常に開きっぱなしなのかもしれない。

スズキ:いっそ大泉で、ちょっと読んでみて。

梅田:大泉で? 「よっぽど小説がはかどったろ〜?」

吉田:やばい!(笑) 藤村Dが見える!

梅田:相撲を取り始めるからね。「腹を割って話そ〜う」

吉田:あっはははははは! 出た出た出た(笑)

スズキ:似すぎてる。

のあ:じゃあ、それで行こう。

梅田:「奥さ〜ん、パイ食わねぇか〜」これで行こう。

吉田:パイはダメだよ。

スズキ:本当に酔っ払ってるみたい。

吉田:解った。当日はアルコールを入れて行こう。

梅田:ダメだよ、そしたら何もコントロール効かなくなって、ただの「酔っ払った梅田」になっちゃう。

信子が化粧をしている裏の意味は何だと思います?

のあ:前の稽古の帰り道にね。梅ちゃんに質問したんですよ。このね、夜、居間で会話してる時、信子がちょっと化粧するようになるじゃない?

スズキ:あぁ。急にいい子になってね。

のあ:俊吉の名前を雑誌で見掛けるようになった頃ね。信子が化粧っけ出したりとか。口答えせずに夫に優しくするじゃない? 媚びてるっていうか。

スズキ:色気付いてんね。

のあ:これを、ある論文で「信子は、俊吉の名前を雑誌で見て、あぁやっぱこんな駆け出しの文学青年と結婚しなくて良かった、あなたみたいな稼ぎのある夫と結婚して良かった、温かい家に住めて美味しいモノも食べられて幸せです、という、夫への感謝の気持ちから化粧をして美しくあろうとしてる」って書いてあって。

吉田:え?

のあ:やっぱ「え」だよね。

吉田:え? や、だってこれってさぁ、俊吉のこと思い出してヒッソリ色気づいてんじゃなくて?

梅田:僕もそっちだと思ったのよ。

スズキ:完全にそうとしか思ってなかった。

のあ:お、これで3票ですね。今度かおりんにも訊いてみようか。戸塚はいいや。

戸塚:なんでだよ(怒) 

のあ:じゃあ、答えてどうぞ。

戸塚:まぁ……そうでしょ!

吉田:「まぁそうでしょ」ってどこに掛かってるの(笑)

スズキ:あ、戸塚も我々側に1票か。

戸塚:そうでしょ。

吉田:これは完全に心の浮気でしょ。俊吉への。え、梅ちゃんはどう思ったの?

梅田:浮気でしょ。

戸塚:そうでしょ。

スズキ:その論文を書いた人はさ、ちょっと心が綺麗すぎるんじゃないの? 

吉田:そうでしょ。

スズキ:その人は浮気したことないんじゃないかな。

戸塚:いや、なんで今、劇団のの全員浮気したことにしたんすか。

なんでこんなに松を強調してくるんだろう

のあ:ずーっと松が出てくるよね。

スズキ:変わらなさの象徴かな。常緑樹だからかな。

吉田:あぁ、なるほどね。そうそう『秋』の話なんだけどね。紅葉とかあんまり書いて来ないよね

スズキ:東京に行って、大阪の家のこと思い出す時も、信子ってどんより松林のこと思い浮かべてるからね

吉田:ずっと黒い松林。

のあ:海辺だから植わってるっていうのもあるだろうけど

スズキ:防風林としてね。そういうロケーション含めて、なかなかな演出だよね。信子の心は移ろってるけど、松林は何ら変わらないっていう皮肉もあるだろうし。海だから天候も変わるし、冬になれば雪も降るし、夏は蝉が鳴いてるだろうに。

吉田:松林はずっと黒い。っていう。あー、やだー。「まつばやし」って読みにくいしね。ね、戸塚くん。

戸塚:そこ?

夫が急に優しくなる

スズキ:この場面の夫って、結構朗らかっていうか。

吉田:優しくなってるよね。

のあ:モラ男期間、終了。

スズキ:信子が化粧してね、柔順にしてるからね。上機嫌なんだろうな。

吉田:しかし。なんか腑に落ちないな。妻が「いい妻」演じてたらいい夫でいられるって。

スズキ:まぁ相互コミュニケーションとしては間違ってないんだけど。どっちかが一方的に耐えてるのがちょっとね。

吉田:夫が優しくしてくれてたら信子ももうちょっと頑張れたかもしれないのに。褒められて伸びる子なんだから。

スズキ:もちこの話ね?

吉田:そうだよ。

吉田:信子がさぁ〜、結局、頑張ってる理由が俊吉への心の浮気だから何ともね。

のあ:だから、これは夫もストレスあるだろうな、って思うけど。働いて帰って来て、奥さんが毎日毎日、特に理由もなく何もしてなかったら、ちょっとイヤだろうな、って気がする。

梅田:うん。ま、夫さんもね、自分でやってもいいのかもしれないけどね。嫌味までは言わなくてもいいかもしれないけど。

スズキ:梅さんは自分でやりそうね。

梅田:やるね。ただ、ここのお家は分担しっかり決まってそうだから。

のあ:そうね。

スズキ:信子の文学も、別に収入に繋がってるわけじゃないから。遊んでて、家事サボってるっちゃあ、サボってるよ。

梅田:あのね、この夫さん、特に悪い人じゃないと思うよこの人。「普通の人」って感じ。普通の夫さん。日本のサラリーマン代表だよ。信子目線で見たら悪役っぽいけどね。

スズキ:なるほどね。

のあ:だから、この「寝るかな」とか、「当たり前だろ」とかも、わりと優しい読み方していいのかもしれないね。

梅田:優しい大泉?

スズキ:そうだね。「あったりまえだろ?」って鼻で笑うっていうよりは、包み込むような。庇護対象に語り掛けるような感じかな。

梅田:庇護対象への大泉? あいよ〜。腹割って話そ〜う。

好きな人が義理の弟になる

吉田:これやだね。「妹と結婚するんだから、弟になって当たり前だろ」って、これやだね。

スズキ:何が?

吉田:信子はさ、「妙なものね。わたしにも弟ができる」って言うのは、グサッと来てるわけじゃん、実は。好きな人が義理の弟になっちゃうっていう。でも夫は知らないから「いや、当たり前だろ」って。信子からしたら、無神経っていうか。「何も解ってないんだから!」って思いそう。酷いやん。

スズキ:完全にすれ違ってるよね。

吉田:でもさ、夫からしたらさ、信子は勝手に浮気しててさ。俺というものがありながら。

梅田:そうよ私というものがありながらねぇ。誰よ俊吉って。あんたの妹の旦那でしょ?

吉田:だから、信子も酷いやん。何悶々としてさ、遠い目してさ。

スズキ:ねぇ、ちょっと待って! さっきから聞いてると、もちこはどっちの味方なの?(笑) っていうかどっちが酷いの?

吉田:状況がやだ。どっちが、とかじゃなくて、この状況がもう。「は〜ん」ってなるじゃん。

梅田:そんなこと言ったら、もうこのお話そのものが全部「は〜ん」だけで構成されちゃってるから。ジャパ〜ンなお話だから。

吉田:だって、この辺のシーンの会話、全部さ、表面上は仲良し夫婦の穏やかな日常じゃん。スッカリ仲直りしたっていうか。すごいムズムズする。信子は笑顔で、夫は満足げで。

のあ:なんか、だんだん、「あれ? 夫さん普通にいい人?」ってなってくるのも不思議だよね。

吉田:まぁ、浮気される夫の典型って感じなのかな。あぁ。ナレーションは全部知ってるから凄いつらい。どんな感情になればいいんだ。うぉぉぉぉぉ!

スズキ:語りにそんなに感情こめないでよ(笑)

のあ:なんか再現Vの番組のナレーションみたいになりそう(笑)

日常会話で語尾に「ぜ」って言う人います?

スズキ:はい、次。戸塚くんのシーン練習しよう。

戸塚:え。

スズキ:このシーンは、ひとことしかセリフない。

戸塚:あー、出た。このシーンいやなんだよなぁ。

スズキ:「待っているんだぜ」 これだけ言って、外出して、あともう出て来ない。

戸塚:あー、イヤだ。ホントにイヤだ。あーイヤだ。

吉田:なんでそんなに嫌がるの?(笑)

スズキ:ナレーターより嫌がってるじゃないか。

吉田:ホントだな。

戸塚:ミュージカルでもこういうキャラクターやったことあるんですけど。同じような喋り方があって。なんか、もう、なんだろう、面白くしかならないからイヤです。

のあ:でもさ、藤原竜也さんとかがそういうキャラクターやったらね、別に面白くはないじゃない?

吉田:藤原竜也自体が既にもう面白いっていう説もあるよね。

梅田:あるね。

戸塚:藤原竜也と比べられてもなー。

のあ:本人は真面目にやってるんだよ。多分。

吉田:多分って言っちゃってるし。

戸塚:いや今どき「ぜ」って言う人います!?

のあ:うーん……。今どき……。

吉田:いないね……。

スズキ:あ、でもほら、うちの兄貴が言っても違和感無いじゃん。「おいおーい、待ってるんだぜー!?」とか、ノリで言っちゃう人だと思う。どう、自然でしょ?

吉田:あー、確かに! 全っ然、違和感ないや! 彼なら言う言う。でも別にダサいとか、笑えるってことはないね。様になるね。

スズキ:ほら。だからね、面白くならない方法はあるよ戸塚くん!

戸塚:俺は面白いんだよな。

吉田:それを言うんじゃないよ。

スズキ:そうだよ、そんなに自分を卑下するもんじゃないよ。

吉田:梅ちゃんは? 「ぜ」って言う?

梅田:まず言わないねぇ……僕はね。どうだろう、下町の人とかって、現代でも「ぜ」を付けたりするのかね。

のあ:「知ってらぁ」みたいな。

梅田:うん。「てやんで〜い」みたいな。

スズキ:あ、待って! サトシは普通に言うよ、サトシは!!!!!

のあ:サトシ……誰?

スズキ:「ポケモン、GETだぜ!」 

戸塚:だから何と比べてるんですかさっきから! 

吉田:よっこ、その例はさすがに。二次元だから。

スズキ:サトシは自然じゃん。

吉田:そりゃアニメは言うよ。なんでも言うよ。

戸塚:俺は面白いから、絶対!

吉田:なんだろう、卑下してるんだけど、「俺は絶対面白い」って断言されると凄い自信過剰に聞こえるな。

のあ:大丈夫だよ、戸塚、微塵も面白くないから。

吉田:それはディスってるように聞こえるんだよな。

照子の「どうして」はWhyじゃな

のあ:この照子が信子に「どうして?」って訊くのは、どういうアクセントになるんだろう。

スズキ:この「どうして」ってさ、理由を尋ねる「Why」じゃなくて、「What’s the matter?」なんだよね。これたまに古典であるよね。「どうやって?」=「How」の意味で使う時もあるし。

吉田:アクセントは変わらないけど、声色っていうか。ニュアンスが変わるんじゃん?

梅田:「どうした?」って何回も何回も言ってみてさ、その口調のまま「た」を「て」に変えて読んだら、うまくできそうね。

スズキ:「どうして?」「どうして?」「どうして?」「どうして?」「どうして?」「どうして?」

のあ:よっこが言うと全部「なんで?」って聞こえるね(笑)

吉田:「し」にアクセント持ってきたら?

のあ:「いかが、なさって?」って感じでね。

スズキ:な〜るほどね〜。

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