この日の夜は、照子と信子、第4話の最後の会話を稽古しました。
長時間に渡る2人きりの留守番。
無言の間。
こだまする柱時計の音とお湯が沸く音。
そして泣き出す照子。
……しんどい!
居酒屋という場所もあいまってか、いつもより赤裸々トークになりました。
- 姉妹とはどんなものなのか?
- 信子が妹の照子に対して感じる、残酷な喜びとは一体何なのか?
- もしかしたら、2人の関係は共依存なのではないか?
などなど、この物語を解き明かすのに必要な要素を、次々と解釈していきます!
Caoriさんが台本に書いたちょっと英国ファンタジーの挿絵っぽいイラストと一緒にお楽しみください。
Caori、遂に台本から信子の気持ちを解き明かした!
Caori:わたしね、ここに向かう途中に、歩きながらとか電車の中で、考えながら来たんだけど。わたしやっぱり信子の気持ち解ると思うの。
のあ:えー、すごい。どういう気持ち?
Caori:このさ、信子が照子に抱く、残酷な喜びっていうか。それを感じ取れるようになった。
スズキ:おー、それぜひ聞きたい。照子を演じる上でも。信子の気持ちって結構、照子の演技にとってもネックになるんだよな。どうしてここまでするのかな、っていう。
のあ:でも、照子は気付いてないよね? 信子の裏の意図とかには一切。
スズキ:そうそう、もちろん。お姉様は100%純粋に自分のこと大事にしてて、でも俊吉はどうせ信子のことが好きで、信子は何でも上だから勝てないって、照子が勝手に思ってるんじゃない? 信子の中に意地悪な気持ちがあるとかは気付いてないと思うわ。
Caori:そうだろうね。そのさ、照子は気付いてないっていうのがより信子のつらいとこだと思うよ。
スズキ:え、なんで? 気付かれない方がよくない?
Caori:そりゃもちろん(笑)
照子の気付かなさこそが、信子の欲しかったもの?
Caori:つまりさ、昔さ、教室でワーッて急に泣き出す女の子とかいなかった?
のあ:いた。小学校とか。いや、中高にも大学にもいたけど。
スズキ:それが照子?
Caori:そうそう。第4話でさ、照子がワーッて泣き出すじゃない?
スズキ:も〜、信子が追い詰めるからぁ(笑)
Caori:そうなんだけどね(笑) あのね、信子って、それができないと思うんだよね。そうやって、周りのことを気にせずに、計算無しに、無邪気に、心の底から泣いたり笑ったりできる天真爛漫な照子を、羨ましいと思う。信子がそれをやる時って計算だと思うから。でも計算した結果、それをやる勇気を引っ込めちゃうと思う。
スズキ:信子は泣けないのか。
Caori:少なくとも、この『秋』の話の中でさ、大きな声出して笑ったとか、ワァワァ子どもみたいに泣いてるところなくない?
スズキ:一応、夫に怒られた時には泣いてるけど……あ、でもシクシク泣いてるんだね。確かに、照子の描写には「子どもみたいに」っていう描写が入ってるよね。
Caori:そうそう。
スズキ:信子も、子どもっぽいとこはあるとは思うのね。夫と結婚してすぐの頃とかさ、少女趣味な話をしたり、文学についてペラペラ喋ったり、夢見がちなところあるじゃない?
Caori:そうそう、はしゃいじゃったり、家事より趣味優先させちゃったり、本当は抜けてるとことか、甘えたいとこはあるんだろうね。
スズキ:それはあると思うね。女子校出身のお嬢様だし。
Caori:でも、大学時代に俊吉といい感じに見せてたのもさ、お金ある夫と結婚したのもさ、全部計算で。どこかで勝手に「わたしって身を引いてる」「周りにはこう思わせておきたい」っていうのを、やっぱりコントロールしてると思うんだよね。で、そっちが買っちゃってるよね、最終的に。
スズキ:大きな枠組みとしてはそっちが強いよね。生き方全体としては。
Caori:だから最初は、勝算あって行ったと思うの、大阪に。
スズキ:あぁ、なるほどね。
Caori:今まで「いい女」「いい姉」やってきたから、「いい妻」もやり通せるって信じてたと思うのね。
のあ:「さーて、人生の次のステージは『いい妻』だぞ」っていう。しかも信子が嫁に行くことで親には「いい娘」だし、妹にも「いい姉」できるし、俊吉を蹴った「いい女」でもいられるんだ。
スズキ:一石……お! 四鳥か。すげぇな、信子。計算高ぇな。
Caori:そうなのよ。でも、照子ってただただ俊吉ゲットしただけじゃん、待ってたら。で、何も計算してなくても全然「いい妹」だし。それに多分「いい妻」だし。信子が持ってないもの、頑張らなくても全部持ってるんだよね。
のあ:信子は、自分はどうやらうまく「いい妻」できないぞ? ってことに気付いて、現実逃避で昔の良かったステージに戻ろうとしてたのかもしれないね。
信子は現実をリセットするために東京へ?
スズキ:それで東京にね。
のあ:あぁ、なるほど。思いを馳せちゃってね。「いい女」「いい姉」だったメンバーの中に、自分の居場所を再度求めたのかな、と。
Caori:でも、来なきゃ良かったんだよね。信子がそこで見たものって、「もう自分の居場所なんて無い」「結局、照子の純粋さには勝てない」って事実なんだよね。それが信子がずっと欲しかったものなんだよ。
スズキ:「いい姉」ポジションは保ってたと思うけど。
Caori:でも自分の中では、ここで終わっちゃったと思うな。照子がどう思い続けるかはわからないけど。
スズキ:照子の中ではあんまり変わらないんじゃないかな、と思った。姉には敵わないって思い込んでる気がする。
Caori:信子は、自分の残酷な喜びに気付いちゃって。だから、純粋な言葉を受け取って、前は喜んでたじゃない? 励みにして。手紙とか。でも、今はもう、照子の純粋さとか、尊敬の眼差しとかに触れる度に、イラッとするのを抑えられなくなったんだと思うの。だから仕返ししちゃうんだよね。
のあ:信子は、自分が導いた結果というか、自分のおかげで照子と俊吉が意図通り結婚したから、その新婚家庭を「どんなもんかな〜」って視察に行った程度かと思ってた。
信子と照子は共依存
のあ:信子は、照子にコンプレックスがあるというか、照子になりたかったということ?
Caori:それもあるとは思う。でも完全に成り代わりたいかっていうと、そういうわけじゃなくて。いや、なんかね、これは自分流の考えだけど。例えば親友とか。なんていうか、同時にライバルっていうことなのかな。
スズキ:ほう。
Caori:深い愛情はあるんだけど、時々、優越感とか、独占欲とか、支配欲とかが混じるような。
スズキ:ほうほう。愛情イコール優しくすることだけとは限らないと?
Caori:うーん。仲良いからこその、憎しみもあるのかな。近すぎるのかもしれない。信子と照子は。特別な強い繋がりを持ってるからこそ、大事に思う気持ちもあるんだけど、こだわっちゃうんだよね。そう、こだわり! こだわりっていう言葉が1番ピッタリ来るかな。
のあ:あぁ、なるほどね。
Caori:わたしが思い出してたのは、漫画の『NANA』ってヤツ。
のあ:はいはい。
Caori:カタカナのナナちゃんと、漢字の奈々ちゃんと、2人とも主人公なんだけど。はい、説明して(笑)
のあ:大崎ナナの方は、ロックバンドのボーカルで、芸術性があって、ファッションとかメイクもすごい派手で尖ってて、喧嘩も口も強くて。小松奈々は平凡で恋愛するしか能のない普通中の普通っていう女の子で、そんなかっこいいナナに憧れてるんだけど。でも本当はナナってめちゃくちゃ精神不安定なのね。だから、奈々に憧れられて、依存されることに依存してる、みたいな。
スズキ:あぁ。
Caori:奈々って恋多き女で次々と彼氏が変わるんだけど。で、失恋して泣いて、周りに迷惑かけて。ナナは凄い漢気あって、そんな奈々を凄い守ってるの。
のあ:奈々を泣かせた元彼をいきなり殴って怒鳴りつけたりとかね。「理想のかっこいい女友達」みたいな。
スズキ:うんうん。
Caori:でもさ、ただの仲良しって感じじゃないんだよね。解るかな。わたし凄い覚えてるシーンがあってさ。
のあ:あ、わかった。
Caori:わたしあんまり詳しく思い出せないんだけど(笑)
スズキ:えー!(笑)
のあ:「あたしの庭で放し飼いにするため」ってヤツでしょ。
Caori:それそれ! ……多分。
スズキ:覚えてないのか(笑)
のあ:奈々が、ナナのバンドのメンバーのノブっていう人と付き合うんだけど、他のライバルバンドの人に取られそうになるの。でもナナはどうしても許せなくて。ノブとより戻させたがるの。なんでそこまでこだわるの? っていうと、奈々を自分の手の届く範囲に置いておくため、っていう。それが、「あたしの庭で放し飼いにするため」っていうセリフ。
Caori:思い出せないけど多分それだわ。
スズキ:(笑) あぁ、なるほどね。それは見守ってるっていうよりは、取られたくないっていうか。
Caori:そうそう。だからナナには彼氏がいるから、奈々と付き合いたいとかじゃないんだけど。でもそれに近い?というかまたちょっと違う、こじれた感情持ってると思う。結構ナナって、喧嘩を吹っ掛けて自分からわざと離れちゃったりとか。連絡絶っちゃったりとか。極端な愛情表現があるんだよ。
スズキ:愛着障害気味なのかな。
のあ:そうそう。漫画の中でも結局、必死すぎるナナに対して、「おまえ、ちょっとおかしいよ?」ってノブにハッキリ指摘されてるんだけど。なんだろう。自分と相手との境界線が曖昧になってる気がするんだよね。
Caori:信子もさ、自分の夢を照子で叶えてる部分あるよね。
スズキ:あぁー。なるほどなるほどね。
のあ:投影してるのか。背負わせてるのか。
スズキ:でも照子は素直に喜んで受け入れてる部分もあるよね。
のあ:そこも似てるかも。奈々も、ナナのことを心の底から尊敬してて。平凡な自分にはない歌手になるっていう才能とか夢とか持ってて、ナナには「自分」があるように見えてるから。だからずーっと憧れてるんだよ。奈々は自分の意志が凄い弱いから、いろんな人の意見求めていつもその通りにするんだけど、ナナのこと教祖として拝んで、何でも意見聞いてたし。あと、奈々自身は異常な執着持たれてるってことには気付いてない。
Caori:だからさ、どっちも依存し合ってない?
スズキ:共依存だね。
スズキ:照子も信子姉さんの後押しがなかったら、自力で勇気出して俊吉と結婚できてたかどうかっていうと、ちょっと怪しいよね。
のあ:あぁ、確かに。それはそうかも。だから余計に、2人とも、どこで自分とお互いを区切ったらいいか、解らなくなっちゃうんだろうね。明確な競争相手のライバルじゃないからさ。どこまでが自分の欲望で、どこまでが自分の達成すべき目標で、どこから自分の喜びなのか、っていう。
では「残酷な喜び」というのは?
Caori:そんな関係だからこそ、残酷な喜びが出て来ちゃうのよ。
のあ:それはどういう喜びなの?
スズキ:それを聞きたいなぁ。怖いけど(笑)
Caori:なんだろう。優越感かな。1番近いのは。さっき独占欲の話出たけど。
スズキ:支配欲とかね。
Caori:うん。照子目線からしたらさ、この場面では、信子に俊吉を取られるんじゃないかって不安で泣いてんのかもしれないけど。信子からしたらさ、正直もう前日の夜から絶対、自信なんて無くしてるわけ。俊吉を取り返せる可能性無いって悟っちゃってるわけ。だから、あと残ってるのって、照子だけなんだよね。
スズキ:コントロールできる相手として。
Caori:うん。でも明確に支配っていうより……なんだろう……。
のあ:でも俊吉が留守にしてさ、2人きりになった途端さ、つまり、俊吉がいると、信子が言った言葉に対して、必ず俊吉って予想外のこと言っちゃうじゃない? かき回す人がいなくなったから、信子が明確に話を導いてるっていうか、照子に思い通りの反応させてるよね。
Caori:そうねぇ……誘導もしてる。ただ、この時は、もうただのやけっぱちっていうか、仕返しっていうのもあると思うんだよね。自分の照子を不安にさせて、泣かせて、それを見届けたいっていうか……。
スズキ:こわいー!(涙)
本当は誰にでもある「残酷な喜び」
Caori:うーん、いや、人間の凄い汚い感情なんだけどさ。でもさ、理解できちゃったんだよね、わたし。
スズキ:ほう。
Caori:ホントは誰にでもあると思うんだよ、この感情。思い当たる節とか。認めてないだけで。本当はそう思いたいわけじゃないけど、悔しい時ってあるじゃん、負けてるって自分で解ってる時とか、満足してない時とか、気付いたら、「自分の方があの子よりちょっとモテた」とか、「わたしだけ声掛けられた」とか。小さいことなんだよ、本当に。
のあ:あるね、あるね。
スズキ:まぁそうね。逆境だと小さいプライドにしがみついちゃうような。「残酷」っていう言葉が大袈裟なのかもね。「陥れてやろう、ゲッヘッヘ」って感じすんじゃん。
Caori:そうそう、だからそこまでじゃないのよ(笑) プチ仕返し。
スズキ:あ、でも解る解る。「ザマアミロ〜」って思うことあるじゃん。
Caori:なんかずいぶん可愛い言葉に変換されたけどね(笑) ね、そうそう。小さいことなんだよ。
のあ:「やっぱり照子ってわたしがいなきゃダメな妹なんだわ」って思いたいだけ、っていう。
Caori:うん。最後に「やっぱり自分が上」っていうのをちょっと確認しておきたかっただけだと思う。
スズキ:それが照子的には思ったより結構ダメージなんだよね、多分。効きすぎだよ。
のあ:俊吉案件が一生物のトラウマなんだろうね、この2人には。スイッチすら共有しちゃってる感じ。
Caori:悪いのは俊吉だよ全部。
のあ:なんかさ。逆にね、この残酷な喜びを「理解できなーい」っていう人の方が、むしろ信子っぽいな。
Caori:どういうこと?
のあ:「信子の計算高さとか優越感が理解できない。自分はもっと真っ直ぐだ」って豪語するというか、断言できちゃう人って、自分の汚い感情から目を背けて理想化してるだけのように思える。大なり小なり、誰にでも信子みたいな感情はあるし、経験もあるけど、記憶から排除してるだけじゃないのかな。特に学生生活とか送ってて、この感情1回も抱かずに生きてくことって難しいでしょ。ここまで実行に移すかとか、この感情に支配されるかっていうところは個人差だけど。それを隠して自分がピュアでありたいと願うのは解るけど。それってセルフプロデュースだからねぇ。
スズキ:逆に信子っぽいと。
のあ:だから、かおりんはここまでその赤裸々な本音に気付けてるってことは、ここまで徹底的にやって相手を破壊する前に抑制がきいて、離れてく人ってことでしょ、おそらく。
Caori:あぁ〜そうかもね。
スズキ:え、自分はどうなの? 信子に共感できる?
のあ:えっとねぇ。今思い出せる例でいうと……あのね、いつも泣きながら色々長時間相談してくる友達がいて。さんざん話聞いて、いくつか選択肢とかアドバイスを言ったんだけど。なんかいまいちピンと来てない様子で。しばらくそっとしといたの。そしたら何週間かして、電話かかって来て。「彼氏におまえは◯◯だから、◯◯とか、◯◯の方がいいって言ってもらって! だから◯◯することに決めました!」って、凄い晴れ晴れと言われて。それは全て、わたしが以前言ったことと全く同じだったわけ。で、彼氏より自分の方が付き合い長いのね。なんか、悔しいなって、思った。
スズキ:あぁ……うーん……?
のあ:あんまりとりとめないんだけどね(笑) つまり、「自分のアドバイスで動いて欲しかった」って思う自分と、「相談なんて受けてる時点で完全に100%ボランティアで、どうするのも相手の自由なんだから」「アドバイスが、適切に響くタイミングってあるよね」という自分がいる。けど、前者が勝ってた。
スズキ:まぁちょっと解る。
のあ:その時期、特別仲良くて。よくギャーギャー泣きながらね、「頼られてるなぁ〜」って思ってたからだと思う。あと、今思うとやっぱりその子が羨ましいところがあったんだろうね。喜怒哀楽が強くて。
スズキ:照子的なピュアさね。
のあ:でももしかしたらさ、自分が照子みたいなことしてる時もあるんだろうな、って思うんだよね、誰かに対して。知らずに誰かに頼りすぎて、相手に我慢させすぎて、爆発させちゃう、みたいな。または、たまたまその人の欲しかった性質とか物とかを自分が持ってて、羨ましがられてたりとか。
Caori:ああ、あるね。自分では常に自信無いからさ、そう思ってないんだけど、人から「いいよね、かおりんは」とかって言われて知ることはあるよね。
照子も知らず知らず挑発してるよね
のあ:だからつまり、照子が信子の意地悪スイッチを押してるのよね。
Caori:そうなんだよ。照子が爆発させてる部分あるよね。
スズキ:え、そうなのか。
Caori:例えばさ、この「家にいたのは俊吉さんだけ?」って心配そうに訊かれれば訊かれるほどさ、「ええ、俊さんだけ」ってすっごい答えたくなるのよ。
のあ:「いやあんたもう結婚してるじゃん、俊さんと! いーなーいーなー」って思ってるからね。
Caori:そう、だから留守番ぐらいでなんだよ、っていうさ。しかも実際何も無いからさ。悔しいじゃん。だからちょっと不安にさせてやろう、って思う。すごい言いたくなる「え〜ぇ、俊さんだけ!」って(笑)
スズキ:ここ残酷喜びポイントなのね。
のあ:なんだそのポイント(笑)
Caori:だってさー、この期に及んで心配してるのなんてかわい子ぶってるようにしか見えないんだもん(笑) この翌日のさ、この2人の会話が地雷だらけなのよ。
スズキ:ほうほう。
Caori:「お姉様だって幸福のくせに」……これは、まじで、ヤバイ!
のあ:「や幸福じゃないわ!」っていうツッコミに満ち溢れた出火ポイントだね。
Caori:しかもこの「お兄様はお優しいのじゃなくて?」……これはもうわざとなのかしら? っていうぐらいグサッとくる。
スズキ:そんなにー!?
のあ:だから、そうだね、そういう風に読まないとね。スイッチをポチってるってことに気付かなくて、悪い質問重ねてる、っていう。
スズキ:無邪気にって感じかな。
のあ:やっぱ毎回言われてるけど、甘えてる感じを出せばいいんじゃないかな。
スズキ:これも甘えなんだ。
のあ:うん。簡単に言うと、可愛く言うっていうのかな。ぶりっ子? 天然っぽい? その方が逆撫ですると思う。
Caori:うきーっ!
スズキ:(笑)
のあ:信子は、照子に気付かせたいんだろうね、罪悪感を持たせたいっていうか。
Caori:そうそう、ある意味、自分の悲しみとか苦労とかを、照子にはもっと解って欲しいっていうのはあると思うよ。遠回しだけど。察してほしいんじゃない?
のあ:報われたいよね。
スズキ:信子も心の中で泣いてるのか。
Caori:いや〜、不器用すぎますなぁ〜。
姉妹ってこうなるものなの?
Caori:わたしさ、『NANA』もだけど、姉妹ものって例えば『アナと雪の女王』とか思い出して。
のあ:あー。あれもね、気難しい姉と無邪気な妹みたいな? あ、嘘、全然覚えてないや、内容。
スズキ:えー!
Caori:うん、まぁ、この姉妹とはちょっと違うけどね。「姉妹ってどういう感じなのかな」って思うわけ。1人っ子だから、実感としてよく解んないんだよ。家の中に自分以外の子どもがいたことがないから。親と友達みたいな。でも親は親じゃん?
スズキ:あー、そっかー。
のあ:よっこん家、多いもんなぁ。
スズキ:うち5人ですね。
のあ:うち3人。
Caori:もちこ(吉田素子)も1人っ子だから、きょうだいいる気持ち解らないって言ってたでしょ。どうなの? 姉妹って。こうなるの?
スズキ:いや、ならないでしょ〜。ここまではさすがにレアケースだと思いたい。うーん。これに近い小さい何かが起きることはあるかもだし、2人姉妹っていうとまた違うのかもしれないけどぉ……これは極端かな。
のあ:親の育て方によっても違うかもだね。
スズキ:あー、それは大きい。あと、やっぱうちは兄貴たちがいるからさ。ここまで2人っきりで濃縮されないかな。
Caori:そっかそっか、性別の組み合わせによっても違うのか。
のあ:年齢の開きも関係あるだろうしね。歳離れてるほど影響薄くなると思うんだよね。同世代の方がライバルになりそう。
スズキ:きょうだいねぇ……「あ、なんか家の中にいるよ?」っていうぐらいじゃないかな。
Caori:え、薄! ほんと?(笑)
スズキ:いや、本当にねぇ〜兄貴となんてマジで特に話すこともないし〜。
Caori:「おはよー」とか。「おかえり」とか。
スズキ:いや……言わない……かも?(笑)
Caori:えー! イメージと違う。
のあ:こないだもちこが同じこと質問してて、「兄弟ってどうなん? こんなんなの?」って。戸塚も「別に妹と特に口聞かない」「話すこと無い」って言ってたよ。
Caori:男兄弟はそうなるのかな。えー、妹は?
スズキ:あ、でも、そうね。妹は、笑いのツボとかを共有してる。
Caori:ツボ?
スズキ:やっぱ話が早いな、と思うことは多々あって。それこそ最近、大人になってから、家にいる時間が長くなって、家の中で会うことが多くて、よく話してるから。よく話してる相手ほど共通のネタとか人とか、こないだもこれ話した、とか、共有してる部分が大きいから。同じことで笑える。仲良いかもしれないね。まぁでも、結局は友達と似たようなもんだと思うけどな。同じ家にいるかいないか、みたいな。
Caori:友達と同じなんだ。友達と一緒に住んでるみたいな。
のあ:幼少期から知ってるルームメイトみたいなね。
スズキ:そうじゃない人もいるんだろうけどね。
のあ:わたしも妹いるけどさ。この信子と照子の関係見た時に、不思議と妹のことは別に思い出さなかったなぁ。他人事として見てた。どっちかっていうとそれこそ中高とかの親友関係に近いっていう感想。あとほら、よく漫画とかである、クラスの男子をめぐって2人の女子がライバルに、みたいな。
Caori:そう考えると姉妹で取り合いってやだね。結婚したら親戚になるから永久について回るね。友達だったら距離取れるからな。ほら、信子が「弟になるのか……」っていうシーンあるじゃない? それってそういうことだよね。やっぱこれきついな。風の噂とかじゃなくて、自分のお母さんから正式な結婚の知らせがくるっていうのもきついな。
スズキ:エグいね。
のあ:閉じられてるよね、なんか。結局、きょうだいって、外にいて友達と活動してる方が長いじゃない? 学校とかで。分散されるんだよね、人間関係が。現代で、都会だと、誰かと特別こういう濃い関係になる機会が無いかもしれない。
スズキ:あぁ、そうねー。信子も照子もお互いあんまり、外にたくさん友人持って、っていう感じじゃなさそうだからね。
のあ:この時代の女性って活動領域限られてそうだしね。
Caori:信子の世界ってすごい狭いよね。母と、俊吉と、照子と、夫と。大阪の生活とかメッチャ孤独そう。 スズキ:そうなると、実際場面には出て来ないけど、母がどういう人だったのかとか、ちょっと妄想したら面白いかもしれないねー。
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作品本編はYouTubeでも配信中↓