お菓子も炭も値段に比べて小さいぞ

 

引き続き、暖房が効かない寒い部屋での稽古です。
Caoriさんが途中で抜けました。

 

☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆

 

ここからは、稽古でやった場面と、それについてキャストが話した内容をお届けします。
作品本文は、青空文庫からコピーしたものに、読み易いよう改行を加えています。
キャストが話した内容は、録音した物を文字に起こし更に編集しています。
なお、議論は明確な答えを出すものではなく、情報は必ずしも正確ではありません。
演出を付けるために自由な発想に基づいて発言しております。

 

☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆

 

—共演者の心は、みんなバラバラです。

◆栗田:さ〜くら〜。さ〜くら〜。あ〜。あ〜。わたしくしは、とらさん。あ〜。
◆のあ:次は、シーン3かな。井戸端会議のシーンだね。
◆栗田:い〜どばたかいぎ〜。い〜どばたかいぎ〜。わたくしは、とらさん。
◆吉田:あれ? 3やらなかったっけ?
◆のあ:今までの稽古でやった記憶が無いな。
◆吉田:でも、見て。わたしの台本、お徳のセリフのところに丸付けてってるよ。
◆スズキ:あ、ホントだ……あれ、途中から丸消えてるよ。
◆のあ:多分、ここは1回も読んでないなぁ。
◆吉田:あ、そうだ思い出した。「自分の役」って思って台本に丸付けて、途中で飽きたんだ。
◆スズキ:何だよ!(笑)
◆栗田:あー解るっ。古本屋で、難しい本買って来たら、めっちゃ線が引いてあるんだけど、10ページ過ぎた辺りでもう線が無くなって、この人ここで断念したんだな、っていう。
◆吉田:それだよ。あとね、初回の稽古で、あ、わたしもしかしたらお徳じゃなくなるかもしれないし、って思って。
◆のあ:梅ちゃんがあの場で直感に従って適当に決めた配役だからね。もう定着してるけど。
◆スズキ:あのさぁ、みんなそろそろ、録ってる時に静かにする練習しない?
◆中馬:途中で面白くなって吹き出しちゃったりしてますからね。
◆スズキ:ガサガサするしさぁ。
◆のあ:じゃあ、静かに。3を読みます。ハイどうぞ!
◆皆:……。
◆のあ:あれ? お源、誰?(笑)
◆栗田:ホラ、言った先からもうダメなんだよ。
◆中馬:じゃあ俺やりたいです。
◆のあ:じゃあナレーションはばねさんで。橋爪功さんのように読んで下さい。
◆栗田:は〜しづめ〜。は〜しづめ〜。あ〜。あ〜。
◆のあ:絶対勘違いしてる。
◆吉田:じゃあ、橋爪と、お源と、わたしで。
◆中馬:ダメだ、みんなバラバラだ!

 

☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆

 

国木田独歩より 竹の木戸

 

植木屋は其処らの籔から青竹を切って来て、これに杉の葉など交ぜ加えて無細工の木戸を造くって了った。出来上ったのを見てお徳は
「これが木戸だろうか、掛金は何処に在るの。こんな木戸なんか有るも無いも同じことだ」
と大声で言った。植木屋の女房のお源は、これを聞きつけ
「それで沢山だ、どうせ私共の力で大工さんの作るような立派な木戸が出来るものか」
と井戸辺で釜の底を洗いながら言った。

「それじゃア大工さんを頼めば可い」
とお徳はお源の言葉が癪に触り、植木屋の貧乏なことを知りながら言った。
「頼まれる位なら頼むサ」
とお源は軽く言った。
「頼むと来るよ」
とお徳は猶一つ皮肉を言った。
お源は負けぬ気性だから、これにはむっとしたが、大庭家に於けるお徳の勢力を知っているから、逆らっては損と虫を圧えて
「まアそれで勘弁しておくれよ。出入りするものは重に私ばかりだから私さえ開閉に気を附けりゃア大丈夫だよ。どうせ本式の盗棒なら垣根だって御門だって越すから木戸なんか何にもなりゃア仕ないからね」
と半分折れて出たのでお徳
「そう言えばそうさ。だからお前さんさえ開閉を厳重に仕ておくれなら先ア安心だが、お前さんも知ってるだろう此里はコソコソ泥棒や屑屋の悪い奴が漂行するから油断も間際もなりや仕ない。そら近頃出来たパン屋の隣に河井様て軍人さんがあるだろう。彼家じゃア二三日前に買立の銅の大きな金盥をちょろりと盗られたそうだからねえ」
「まアどうして」
とお源は水を汲む手を一寸と休めて振り向いた。
「井戸辺に出ていたのを、女中が屋後に干物に往ったぽっちりの間に盗られたのだとサ。矢張木戸が少しばかし開いていたのだとサ」
「まア、真実に油断がならないね。大丈夫私は気を附けるが、お徳さんも盗られそうなものは少時でも戸外に放棄って置かんようになさいよ」
「私はまアそんなことは仕ない積りだが、それでも、ツイ忘れることが有るからね、お前さんも屑屋なんかに気を附けておくれよ。木戸から入るにゃ是非お前さん宅の前を通るのだからね」
「ええ気を附けるともね。盗られる日にゃ薪一本だって炭一片だって馬鹿々々しいからね」

「そうだとも。炭一片とお言いだけれど、どうだろうこの頃の炭の高価いことは。一俵八十五銭の佐倉があれだよ」
とお徳は井戸から台所口へ続く軒下に並べてある炭俵の一を指して、
「幾干入てるものかね。ほんとに一片何銭に当くだろう。まるでお銭を涼炉で燃しているようなものサ。土竈だって堅炭だって悉な去年の倍と言っても可い位だからね」
とお徳は嘆息まじりに「真実にやりきれや仕ない」
「それに御宅は御人数も多いんだから入用ことも入用サね。私のとこなんか二人きりだから幾干も入用ア仕ない。それでも三銭五銭と計量炭を毎日のように買うんだからね、全くやりきれや仕ない」
「全く骨だね」
とお徳は優しく言った。
以上炭の噂まで来ると二人は最初の木戸の事は最早口に出さないで何時しか元のお徳お源に立還りぺちゃくちゃと仲善く喋舌り合っていたところは埒も無い。

 

☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆

 

—「どうして」は理由ではない?

◆スズキ:お徳がたらいが盗まれた噂出した時、お源が「どうして」って訊くじゃん? お清も
増屋が炭が盗まれた話をした時に「どうして」って言ってたけど。これってさ、「どのようにして」「How」なんじゃない?
◆中馬:あぁ、「まぁ! いかようにして?」ってこと?
◆スズキ:そうそう。「Why」じゃなくて。定かではないけど。その後に来る答えが、大体理由じゃなくて経緯の説明なんだよな。
◆のあ:明治……。今、亡くなった人を1人生き返らせていいと言われたら、独歩さんだな。

 

—長い文章は分解して練習してみましょう。

◆吉田:「井戸辺に出ていたのを、女中が屋後に干物にいったぽっちりの間に盗られたのだとサ」って言い辛いんだけど。まずさ、長いし。「女中が」の後、「え、これでウラって読むの!?」って思ってる間に、引っ掛かる。
◆スズキ:確かに「屋後」で「ウラ」って凄いよね。
◆吉田:更に「ぽっちり」が出て来るから。ぽっちりって言うなっ!
◆中馬:繋げない方がいいのかな。い〜どばた〜に〜、じょ〜ちゅ〜が〜、う〜らに〜♪
◆のあ:あのさ、さっきから疑問なんだけど、それは有効な練習方法なの?
◆中馬:前に、変なニャーニャーした声で音を分解してずっと繰り返し読んでると、飽きた頃には滑舌が良くなってるって、教えてくれたじゃないですか。
◆のあ:教えたけどさ。
◆中馬:でも、飽きた頃には、周りからひんしゅくを買っているんです。
◆のあ:1人でやる練習だから。
◆中馬:でも、ひんしゅくを買うと、気持良くなっちゃうんです。
◆のあ:君は何を言ってるんだい?
◆吉田:区切って繰り返すしかないのかぁ。
◆スズキ:頑張れ〜。

 

—お徳はいじわるばあさんではありません。

◆のあ:お徳、23歳だよ(笑)
◆栗田:今、姑みたいだね。
◆吉田:やぁ、どうしても40-50歳を思い浮かべちゃうんだよな。
◆のあ:なんでさ!(笑)
◆スズキ:しかも「器量も悪くない」って書いてあるんだから。お徳、可愛いそうですよ。
◆中馬:可愛い子、いいなぁ。
◆のあ:もっと可愛いお徳でお願いします。
◆吉田:可愛くね。……ハァ〜(溜息)
◆栗田:「ハァ〜」って。
◆のあ:炭の文句言う時、今、炭屋を呪う鬼ババアみたいになってるよ。
◆中馬:もはや老母。
◆のあ:それ言ったら中馬もさ、「お源は軽く言った」「お源は折れて出た」のとこ、軽くもないし折れてもないよ。
◆中馬:反骨精神が出ますね。

 

—お徳は、明るく相手にダメージを与えることができます。

◆のあ:もっと、軽いトーンで嫌味を言うんじゃないかなぁ?
◆スズキ:もっとナチュラルなマウンティングなんじゃない?
◆吉田:あれ〜ぇっ? これが木戸だろうか〜♪ 掛け金はぁ、どこにあるのぉ?
◆中馬:ですぅ〜♪
◆のあ:あ、タラちゃん。
◆中馬:嫌味は言ってるんですけど、後半、炭の話になると、共感とかもありますしね。
◆吉田:なんか急に仲の良い女子女子してて。
◆スズキ:最後の「全く骨だね」って急に優しくなるよね。
◆のあ:最後の方は仲良く終わるからね。
◆スズキ:でもホラ、見て。「いつものお源とお徳」に立ち返るって書いてあるけどさ、いつものお源とお徳を出せるの、作品中ここしかないよ。
◆吉田:ひょえ〜。
◆スズキ:この「頼むと来るよ」はもっと親切に教えてあげたら?
◆吉田:ここ言いにくいね。親切なの言いにくいね。
◆スズキ:優しく言われた方が、ドキッとなるよね。
◆吉田:これ凄い皮肉だから、「さぁさぁ言ってやるぞぉ?」っていう気合いが入っちゃって。もっと無邪気に人を傷付ける感じだよね。
◆スズキ:教えてあげてるんだよ。頼むと来るんだよ、って。
◆吉田:頼むと、来るよっ! 頼むと来〜るよ♪ 頼むと……来るよ?
◆中馬:もはやピザのCMみたいになって来ましたね。
◆吉田:えへ♪
◆のあ:確かに(笑)
◆中馬:お源を見ないで言うぐらいでもいいのかな、って思います。軽く。
◆栗田:1番普通の言い方するといいんじゃない? 善意で言ってる風に。
◆中馬:来るよ!
◆スズキ:頼むと来るよ!
◆中馬:来るんで〜すぅ〜。
◆栗田:頼むと来るよ、と、もうひとつ、お肉を言った。
◆中馬:もう全員お徳ですね。
◆スズキ:全員。
◆栗田:善意。
◆中馬:ゼンギ?
◆栗田:ゼンギ?
◆中馬:ゼンゼンゼンギ?
◆中馬・栗田:わぁぁぁぁぁ〜っ!!!!!
◆栗田:大沢親分の……いいです。何でもないです。
◆吉田:何なんだよもうっ!

 

—お徳は、遠くから相手にダメージを与えることができます。

◆吉田:ねぇ、この「これが木戸だろうか」って、誰かそばにいるわけじゃないでしょ?
◆スズキ:いない。1人。お源は井戸にいて、お徳は木戸にいる。
◆吉田:これって、独り言がでかいのかな? それとも聴かせようとしてるのかな。
◆スズキ:勿論、聴かせようとしてるんだよ。お源に。
◆栗田:もうちょっとヤッホー感出してみて。
◆吉田:ヤッホー感。木戸から井戸ってどんぐらい距離あるのかな。
◆のあ:えっ!?
◆吉田:えっ!?
◆のあ:あ、ごめん「木戸から井戸」について行けてなくてパニクった。
◆中馬:そのぐらいついて来て下さい。
◆のあ:お源は、家を出て、木戸を開けて、女中部屋の前を裏庭を横切って、井戸まで行く。3m以上は確実にあると思うんだけど。7m、10mとか、もっとかもしれないし。
◆吉田:だいぶでかい声だね。お徳ってお源に近付いて来るのかな。歩きながらとかもありうるよね。
◆スズキ:やなやつだな。
◆吉田:やなやつなんだよお徳は。

 

—明治時代の人のテンションが掴めない。

◆吉田:なんかなぁ〜。昔の人のテンションってよく解んないね。
◆スズキ:独歩もここまで精密に読まれること想定しないで書いてから。
◆中馬:独歩は想定しています。
◆栗田:独歩は計算してるよ。精密に書いてるよ。
◆スズキ:はい。

 

—こそこそ泥棒って、なんだか可愛いです。

◆吉田:「こそこそ」って、何? 「こそこそ泥棒」で1つの単語?
◆中馬:こそこそと、泥棒が、って意味ですか?
◆吉田:その後うろうろも出て来るから、おかしいよね。何処で切るの?
◆栗田:しかも、その前に「本式の泥棒」が先に出て来てるから。本式に対する格下のこそこそじゃない?
◆スズキ:こそこそ泥棒って、ちゃんと辞書に載ってて。略して「こそ泥」だって。
◆栗田:ちょっと可愛く読んでみて。
◆吉田:みんな〜ぁ。気を付けて〜ぇ。こそこそ泥棒が、来るよぉ〜♪
◆のあ:ディズニーランドのアトラクションのお姉さんみたい。
◆吉田:次は、クズ屋だよっ♪
◆中馬:こそこそしてない泥棒って何でしょうね。
◆栗田:堂々泥棒。強盗かな。
◆中馬:強盗かぁ! 金を出せって堂々と来ますね。
◆スズキ:空き巣は?
◆のあ:空き巣は人がいない時を狙って入ってるじゃん。心根がこそこそだよ。怪盗キッドは?
◆中馬:堂々ですね。

 

—今も昔も、商品は値上がりし、サイズダウンしています。

◆スズキ:「1俵85銭の佐倉があれだよ」の「あれだよ」は「あのざまだよ」っていう意味なんじゃないかな。今だと、「あそこにあるのが、例のあれさ」って提示してるように聞こえる。
◆中馬:「あれっぽちだよ」ってことでしょ。炭が高いってことですからね。俵が小っちゃいのかな、って思うんですけど。お徳用買ってるのに損してるみたいな。
◆のあ:「いくら入っているもんかね」ってカントリーマ●ムが小っちゃくなってってるのと同じでしょ。
◆スズキ:憤慨だよね。
◆のあ:あれ? あれは小さい時にまだ自分の手が小さかったから? 今成長した自分の手には小さく感じているだけ?
◆中馬:いやいつの話してるんですか! や、確実に小さくなってますよ。
◆吉田:う●い棒が細くなってってるのは気のせい?
◆皆:えっ!
◆スズキ:一時期、ダ●スが10個になる噂もあったよね。
◆中馬:それはもはや●ースじゃない!
◆のあ:国民をバカにしてるな。
◆スズキ:そうだよ。そこまでバカじゃないよね。
◆中馬:ダースって10個のことだと思っちゃうじゃないか!

 

コメントを残す