小川未明「遠くで鳴る雷」|稽古5分しかしてないのに収録しちゃいました

稽古場日記
遠くで鳴る雷
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思い入れゼロからのスタート

今日は小川未明『遠くで鳴る雷』の収録です!

この作品、ナレーションは演出Noahが務めました。収録日に到着して、その日、初めて読みました。

練習してないんかい!

してないですね。

スズキ「大丈夫、大丈夫だよ、サクッと読めるよ、短いし、すぐできるよ、簡単だから、ね?」

と、オレオレ詐欺チームの誘い文句のように言うので、騙されました。1回サラッと目を通して、ほぼほぼ、ぶっつけで録りました。

ひどい話だ!

とはいえ、そのぐらいの気軽さ、手軽さ、身軽さで録れるのが単独(短編)作品の醍醐味かな、って思っています。『竹の木戸』や『秋』のように大勢で「ああでもないこうでもない」と議論や稽古を重ねるのも一興、1人で声のトーンやペース配分を考えてインスタントするのもまた一興。

なんとかなるだろう!

鬼監督スズキさんに、

「はい、もういい? 読み方決まった? 行くよ!」

と、機材のスイッチをポチられ、いざ収録!

ハプニング!登場人物が上流階級になってしまう!

予備知識も思い入れもなく、心無い1ページを読み終わり、早速つまずいたのがセリフの部分です。

まさかの主人公の少年=二郎と、その母が登場!!!!

おえ!? これ、人が出て来るの? 

聞いてないよ。

そして、どっちもうまく読めない。

これは、なかなか意外なアクシデントに足を取られました。何度もいろんなパターンで試してみましたが、全部スズキさんに却下されました。

スズキ「おい、その二郎は絶対に金髪だろ! どう考えてもキュウリ育てないだろ!」
スズキ「ちょっと! 母、どこの上流階級だよ!」

何度読んでも上流階級になってしまうらしい。

伝わらないと思うんで、絵にしてみたんですけど、どうもこんな感じの世界観になってしまうらしいです。

なんだろう、昔の少女漫画風な。数分で書いたので許してください。

どうしよう、このままでは「ドレスにつば広帽で紅茶をいただく母」と、「セーラー服で子馬に乗る二郎」になってしまう!!!!!

救世主 吉田登場

と、そこへ録音室の重たい二重スライドドアが!

「ガラッ、ゴゴーッ!」

と開いて現れたのが、救世主、吉田素子さんです。

スズキ「あ、もちこ」

吉田「あ、ごめん遅れましたー」

スズキ「ちょうどいいところへ来たね

Noah「母を読んでよ」

吉田「は?」

スズキ「母を読んでよ」

吉田「え……は? あたし今日は芥川の『秋』を読みに来たんだけど!?」

スズキ「いや、母だ。あなたは母だ」

ハマり役だった

ということで(?)吉田さんが母の役になりました。

遠くで鳴る雷

自動的に(?)文句ばかり言っていたスズキさんが二郎ちゃんの役になりました。

ひどい話だ!

この記事の冒頭で単独作品の魅力について語ったのに、もう早速、矛盾して来ましたね。

そうです、これは、実は複数名作品になってしまったのです!

『遠くで鳴る雷』のフリートークでは、そのお2人が当日いきなり役を振られた理由はあんまり詳しく述べていませんが、戸惑った心境を明かしています。

スズキさん曰く「飛び込み二郎ちゃん」は、少年らしくピュアで、素朴でいい感じでした。

そんなスズキさんの演技に引っ張られ、

「無い母性が、出たよね!」

という吉田さん。こちらは『トトロ』に出て来るサツキちゃんとメイちゃんのお母さんをイメージしたそうです。時代が同じなので、まさにぴったり。包み込むような落ち着いた温かな母の声、素敵です。ドレスじゃなくて着物とか割烹着とかしてそうだ。

まぁ伝わると思うんですけど、一応描いてみました。

これが求めてたお母さんと二郎ちゃん像だ。

やれって言われていきなり演じられるから凄いです。言わなければ、当日、突然役が決まったことも、5分ぐらいしか練習してないこともバレなかったと思います。

この作品の見所、いや、聞き所は、いきなり振られて読んだ2人のセリフ部分のナチュラルさです! 自信持ってオススメします。

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