江戸川乱歩「指環」|江戸川乱歩作品に初挑戦

女中部屋で練習

本日は江戸川乱歩『指環』の初稽古です。

ここがどこかというと。

スズキヨシコ邸のひと部屋。

なんと、女中部屋です。

国木田独歩の『竹の木戸』に、登場しましたね、女中部屋。

戦後すぐに建てられた、和洋折衷のモダンなお家。

玄関を入って、右側に客間と、主人の書斎。左側の突き当たりに、このお部屋が。お台所の近くにあり、エリア分けされているのです。

ちなみに、女中部屋の中には、高窓が! 多分、もっと和風だったはずですが。外を見下ろすと、ちょうど、枯れ葉と笹が見えます。まさに『竹の木戸』ではありませんか!

そんなお部屋で、電灯の下、お稽古。ちょっと、昔の浪人生みたいでいいですね。いい雰囲気です。

初出演 田島裕人

以前、2015年に劇団のの 舞台公演に出演した田島裕人くん。ののラジオになってからは、初参加です。

普段は、歌のコンサートやミュージカル出演の多い田島くんですが、朗読は初めてです。

もともと文学が好きな田島くん。江戸川乱歩についても、しっかり調べて来てくれていました。予備知識はばっちり。

日本初の戯曲風小説?

このお話の見所、演じ方の基本について、みんなで話し合いました。

江戸川乱歩の『指環』は、地の文、つまりト書きがなく、セリフだけで構成されています。これは、日本の小説では前例のない、初めての試みなのだとか。

今回は、「2人の男が登場する、音声で聞いて楽しいもの」ということで取り上げてみました。

前々から、江戸川乱歩は「楽しそう!」と候補に挙がっていたのですが、面白いものはどれも長くて大変そうだったので、手始めに、これをやってみることにしました。

「指環」のあらすじとは?

登場するのは、AとBという2人の男(書かれていないけど、口調から男性だと思われます)

舞台は、電車の中。「いつかもこの路線でお会いしましたよね?」と、丁寧な言葉で話し掛ける、A。「そうでしたっけね」と、すまして答える、B。

以前2人が出会ったのは、泥棒騒ぎの時。車内で貴婦人の指環がスられ、Bがスリの疑いを掛けけられたのです。車掌がやって来て、Bを身体検査しましたが、指環は発見されませんでした。

「どうしてでしょうねぇ?」と、たたみかける、A。ここまでは丁寧な口調です。

だけど、ついにちゃんちゃらおかしくなって笑い出すB。「お互い、しらじらしい芝居じみた会話はやめようぜ」ということなのです。

実は、話し掛けたAも泥棒。Aは、Bが指環を盗んだ犯人であると確信しています。

Aは、同じ泥棒として、どうやってBが逃げおおせたのか、方法が知りたくて話し掛けて来たのです。

しかし、Bはなかなか肝心なポイントを話さず、出し渋りをします。そこで、Aは、「もったいぶるなよ!」と色々質問をし、Bから答えを引き出そうとします。

Aが変わるとBも変わる

AとBのキャストを何度か交代しつつ、試し読みしてみました。

面白いことに、Aを演じるキャストが変わると、Bに対して畳み掛ける口調が変わるため、Bがトリックを種明かしする口調も、つられて変わって来ることがわかりました。

Aが必死な感じで「おい教えてくれよ!」と質問責めにすると、Bはもったいつけて、「仕方がないから教えてやるよ」という態度をとるようになります。

それに対し、Aが話術に長けており、インタビュアーのように「ほ〜、それでそれで?」とうまく引き出そうとすると、Bは気持ちよくなって自慢げにどんどん喋ってしまいます。

このように、Aの聞き出し具合で、Bの回答のしかたが変わってくるのです。AとBの年齢の上下、性格なども、細かい設定を考えると面白そうです。

実は駄作と評されている?

栗田さんと田島さんが調べたところ、この作品は「正直、トリックはそんなに面白くない」「ミステリーとしての内容は大したことない」と評価されているそうです。

たしかに、そんなに目を見張るようなトリックではないですし。ストンと腹に落ちる内容ではないかも。「名探偵コナン」を見ている時のような「お〜そういうことか!」というスッキリ納得感は、無いかもしれません。

この作品の見所は、トリックそのものより、AとBの駆け引き、心理戦だと言われています。やっぱり、演技によってこの2人の口調を工夫することを楽しむのが良さそうです。

べらんめえ調

もう1つ、この作品の面白いところ(そして、ややこしいところ)は、「THE☆江戸っ子」という感じの、べらんめえ調です。

「まぁ、聞きねぇ」

「そうじゃねえんだから、お笑いぐさよ」

「するってぇと」

などなど。落語や大衆演劇でしか聞かないような口調です。

色々な作品に親しんでいると、聴き慣れてはいますが、いざ自分がこれを自然に発音しようと思うと、そんなに簡単ではありません。ものにするまで時間が掛かりそうです。一種の方言を習得するようなものだと感じます。

稽古のあとはお菓子で一休み

しかし、狭い部屋で暖房が効いているから良いものの、外は寒いので、外に出る前にお菓子を食べてカロリーを消費し、体を温めております。

古民家に、座敷わらしが出ました。

実は、舞台での共演回数が多く、仲良しの2人。2人のAとBが楽しみです。

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