中馬智広ですぅ

 

引き続き、暖房が効かない寒い部屋での稽古です。

 

☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆

 

ここからは、稽古でやった場面と、それについてキャストが話した内容をお届けします。
作品本文は、青空文庫からコピーしたものに、読み易いよう改行を加えています。
キャストが話した内容は、録音した物を文字に起こし更に編集しています。
なお、議論は明確な答えを出すものではなく、情報は必ずしも正確ではありません。
演出を付けるために自由な発想に基づいて発言しております。

 

☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆

 

国木田独歩より 竹の木戸

 

其処で平常の通り弁当持たせて磯吉を出してやり、自分も飯を食べて一通片附たところでバケツを持って木戸を開けた。

お清とお徳が外に出ていた。お清はお源を見て
「お源さん大変顔色が悪いね、どうか仕たの」
「昨日から少し風邪を引たもんですから……」
「用心なさいよ、それは不可い」
お徳は
「お早う」
と口早に挨拶したきり何も言わない、そしてお源が炭俵の並べてないのに気が着き顔色を変えて眼をぎょろぎょろさしているのを見て、にやり笑った。お源は又た早くもこれを看取りお徳の顔を睨みつけた。お徳はこう睨みつけられたとなると最早喧嘩だ、何か甚い皮肉を言いたいがお清が傍に居るので辛棒していると十八九になる増屋の御用聞が木戸の方から入て来た。増屋とは昨夜磯吉が炭を盗んだ店である。

「皆様お早う御座います」
と挨拶するや、昨日まで戸外に並べてあった炭俵が一個見えないので
「オヤ炭は何処へ片附けたのですか」

お徳は待ってたという調子で
「あア悉皆内へ入ちゃったよ。外へ置くとどうも物騒だからね。今の高価い炭を一片だって盗られちゃ馬鹿々々しいやね」
とお源を見る、お清はお徳を睨む、お源は水を汲んで二歩三歩歩るき出したところであった。
「全く物騒ですよ、私の店では昨夜当到一俵盗すまれました」
「どうして」
とお清が問うた。
「戸外に積んだまま、平時放下って置くからです」
「何炭を盗られたの」
とお徳は執着くお源を見ながら聞いた。
「上等の佐倉炭です」

お源はこれ等の問答を聞きながら、歯を喰いしばって、踉蹌いて木戸の外に出た。
土間に入るやバケツを投るように置いて大急ぎで炭俵の口を開けて見た。
「まア佐倉炭だよ!」と思わず叫んだ。

お徳は老母からも細君からも、みっしり叱られた。

 

☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆ 。*・☆

 

—中馬の立場。

◆中馬:これ、俺、店での立場上、どう思えばいいんですか。盗まれたことに関して。
◆スズキ:まぁ、盗まれたって言っても、1番下の人だし。アルバイト店員みたいなもんでしょ。「いやぁ、外に置いておくなんて、うちって雑な店だよね〜ヘッヘッへ」っいう自虐なのか。
◆のあ:今だと、一般的に、窃盗とか治安に対する「やばいッスよね、怖いッスよね」っていうテンションだね。
◆中馬:あぁ、今はちょっと深刻にやり過ぎましたかね。
◆スズキ:この場のみんなに、この話をしてどう思って欲しいのかね。
◆のあ:この人、凄い真っ直ぐで、ひねくれてないんだと思うよ。
◆中馬:え!?
◆のあ:いや、絶対ひねくれてないよ、どう考えても(笑)
◆中馬:そうかぁ……。
◆のあ:何を想像してたのかは知らないけど(笑) 「いやぁ、物騒ッスよね! みんなも気を付けて下さいね!」って感じの人だと思う。

 

—中馬の若さ。

◆のあ:ねぇ、増屋。
◆中馬:はい。
◆のあ:なんか、老けてるな。村の庄屋さんかと思ったわ。
◆中馬:え!
◆のあ:入りは、もっとテンション高いんじゃない?
◆吉田:うん、もっと若くて元気な感じなんじゃないかな?
◆栗田:なんか、増屋は、もっと場違いな明るさを出して欲しいんだよなぁ。このピリピリ緊張してる所に、いきなり飛び込んで来る、異世界の平穏な人。いっきに違う風を吹き込んで欲しい。
◆中馬:はーい。
◆のあ:軽いな。
◆栗田:最初に出て来た時、鼻垂らしてそう。
◆のあ:え? そんな増屋?
◆栗田:いや、中馬が。
◆のあ:中馬、鼻声はダメだ。もっとハキハキと! 清潔感とバイタリティー溢れる話し方をするんだ! 増屋は18-19歳だぞ!
◆中馬:あぁ〜そうか〜若さかぁ〜(溜息)
◆Caori:いや、中馬、何歳?
◆中馬:23ですけど。
◆Caori:ねぇ! 若いじゃん!
◆中馬:なんか、自然に話そうとすると老けるんですよ。このセリフに従って、この言葉遣い……「わたし」とか言うじゃないですか、これが現代の感覚で言うと年寄り臭く感じちゃって、引っ張られちゃうんですよね。
◆のあ:あぁ、そういうことか。
◆スズキ:落語に出てくる若い衆とかをイメージしてみたら?

 

—増屋は、俳優なら誰?

◆のあ:もっと爽やかな感じをイメージしてたんけどな。もっとベタな、若手俳優のような雰囲気でいいのにな。
◆中馬:誰ですか?
◆のあ:誰でもいいんだよ。菅田将●さんでも。
◆吉田:え、じゃあ岡田将●がいい。
◆のあ:いいよ素晴らしいよ。どのまさきでもいよ。老人はやだ。
◆のあ:往年の小栗●さんとか。
◆吉田:それじゃあ、往年の中尾●慶君は?
◆のあ:え? 往年の中●彬?
◆吉田:あきよしだよ!
◆Caori:あぁ〜解る! 凄い解る。
◆栗田:いいね、合ってるね。
◆吉田:でしょでしょ。
◆栗田:そして、もっと、鈴●福くんみたいな。
◆皆:え!? ●木福くん!?

 

—アニメ「サザエさん」を観てみようか。

◆栗田:ちょっと福君を参考に、サザエさんもっかい観てみよう。
◆吉田:どういうこと?(笑)
◆のあ:三河屋のサブちゃんが出て来る回、無いのかな。
◆栗田:ちょっと待ってよ、膨大な量があるんだけど。
◆のあ:サブちゃんとか中島とか穴子さんってさ、関係無い話の時にフラッと出て来る準レギュラーだもんね。
◆栗田:どうやって探そうか……。

◆栗田:あ! ありました。サブちゃんが行方不明になる回があるよ。
◆皆:どういうこと……!?
◆栗田:流しますよ。画面見ちゃダメですよ、音だけ。

三河屋のサブちゃんが行方不明になって、
お店のおじさんが注文取りに来る、謎回を視聴しました。
Wikipediaで調べたところ、彼の人生の経歴もなかなか面白いですよ。

◆Caori:やっぱりサザエさんはゆっくりだなぁ〜。
◆吉田:解りやすいね。
◆栗田:解りやすいんだよなぁ。
◆中馬:なるほどね。上等の、佐倉ですぅ〜。ですぅ〜。
◆のあ:あぁ……中馬がサザエさん口調になる……!
◆中馬:ちゃーっす! 増屋、で〜すぅ〜。で〜すぅ〜。
◆のあ:もうサザエさんを止めるんだ! 中馬に悪影響が出てる。ていうか、なんで参考にしてるのタラちゃんの口調なんだよ!(怒) ちゃんと三河屋聴いてた?

 

—増屋は1番重要なことを言うおいしい役。

◆栗田:この「佐倉」のセリフは、もっと音楽鳴りそうな感じで言ってよ。
◆のあ:「次回、お源死す!」っていう感じの。クライマックスを司るおいしい役なんだけど。
◆栗田:だから、情報としては、「1俵盗まれた」んだってことと、「佐倉」っていう単語がピーンと聞き取りやすいといいよね。
◆中馬:さ〜くら〜ぁ。
◆のあ:それじゃ寅さんだろうが。
◆中馬:違いますよ。「さくらーぁ」って「カードキャプターさくら」で、シャオラン君がさくらのことを呼ぶじゃないですか。
◆のあ:そっち!? 寅さんだったけど。文章の中の単語1箇所だけ物真似入ってたらおかしいでしょ。
◆中馬:さくら〜ぁ。
◆のあ:あれ、段々「ちびまる子ちゃん」のクラスメイトに聞こえて来た。
◆吉田:もっと元気良く言いなよ。
◆Caori:元気な方が刺さるじゃん。
◆中馬:えー。だってこの後お源が死んじゃうの可哀想だな、と思うと。
◆のあ:あなたが殺すのよ。
◆中馬:あ〜。俺かぁ〜。でも知らないのかぁ〜。
◆のあ:中馬じゃなくて増屋だから。増屋、未来から来た人になっちゃうじゃん。
◆栗田:他人事だからこそ明るく言えるでしょ。
◆中馬:俺、何でも自分事だと思っちゃうから。
◆のあ:ジブンゴトって初めて聞いたな。さっき1回ちゃんと言えた時もあったのにね。
◆中馬:言い方を統一するのは難しいですよ。人間の細胞は、常に入れ替わっているから。
◆のあ:え?
◆中馬:海馬も入れ替わって行くから。細胞が循環して、新しくなった俺、それはもう別人だから。
◆のあ:代謝いいなオイ。

 

—キラキラふりがな。

◆スズキ:中馬のテキストでは、「炭は何処へ片付けたのですか」って、どうなってる? さっき「どっか」って読んでなかった?
◆中馬:えっと、「何処」は「どっか」って振り仮名ですね。
◆スズキ:あぁ〜ここは「どっか」が正しいんだ。面白いね。「どこに片付けたか」って訊くと、片付けた先の場所を質問してるけど、「どっかに片付けたのか」って訊くと、片付けたことそのものへのクエスチョンだからね。
◆吉田:お徳の「何炭を盗られたの?」で「なに」って読むのも面白いよね。
◆Caori:そうね、もう炭ってことは解ってて、炭の種類を特定したいんだもんね。
◆スズキ:これはもう文字を黙読することを大前提にしてるから面白いよね。
◆中馬:なんか、カラオケの歌詞の字幕みたいッスね。「永遠」って書いて「フォーエバー」って歌うみたいな。
◆スズキ:「本気」と書いて「まじ」とか。
◆栗田:「瞬間」と書いて「いま」とかね。

 

—お清さんは心配性?

◆栗田:今の演技だと、お清がちょっと意味深過ぎじゃない?
◆スズキ:あ、本当? 何がそうさせるんだろう。
◆栗田:なんだろう、心配し過ぎなのかな、この時点で。お清が元気無いとか具合悪いのかと思うぐらい。または、お源の顔色がそんなにヤバいのか!? って印象を与える。不必要に不安を煽ると、もう既にここでお源の死を予感してる感じ。まだ、お源が死ぬなんて夢にも思ってないはず。
◆スズキ:お清さんは心配性だと思ってた。
◆栗田:心配性だとは思うけど。その今出してる、か細さとか、元気の無さって、細君が担ってる気がする。細君は青白そうだな。細君みたいな女、俺、凄い好き。
◆のあ:気持悪いなぁ。
◆栗田:素晴らしいじゃないですか風邪引いただけで死にそうな女。
◆のあ:夏目漱石の小説に出て来そうな、何考えてるかちょっと解らない人ね。
◆栗田:いいなぁ。お清は、それよりはもうちょっと健康的でもいいんじゃないかな。
◆のあ:お清の立場として、心配するべき点があるとすれば、お徳が昨日の騒ぎの続きで、お源さんに直接「炭盗んだ」云々言い出したらどうしよう? っていう懸念はあるよね、きっと。
◆スズキ:お源をお徳から「守ってやりたいな」と思う気持ちは無いのかな。
◆のあ:仮に、守ってやりたい気持があったとして。で、例えば、お清が深刻に「顔色どうしたの?」ってお源に訊いて、相談乗るモードになったとして。もしお源が真剣に「昨日まで貧乏で炭が買えなくて辛くて泣いてたんですけど、今日はもう大丈夫になりました」とか言って来たら、どうしよう、って思わない? すかさずお徳が「炭?」って反応するじゃん? だから、気を遣ってるなら、サラッと振る舞うと思う。
◆吉田:うんうん。お清は、いい距離感とかわきまえてると思うんだよね。踏み込まないんじゃないかな。世間話の感覚じゃないかな。
◆栗田:だからって別に、「表面上、今まで通りにしなきゃ!」っていう変なギクシャク感が出るほどでもなく。この時点では、お清的に、特に裏の意味は無いでしょう。ただ単にお源の様子が疲れてたから気付いて口にしたってだけで。
◆スズキ:なるほどね。お源って、どのぐらい顔色悪いのかな。
◆Caori:わたし大泣きした後、顔に赤い斑点出たりするけど。そういうのかな。
◆吉田:うん、目が腫れるとか。泣いたな、って判る程度じゃない?
◆のあ:クマができてるとか。顔が青白い、とか。

 

—やっぱり強いお徳。

◆のあ:「おはよう」の4文字でこんなにアピールできるもんなんだね。
◆Caori:「おはよう」はヤバい。
◆吉田:お徳はね、人を傷付けるためだけに生きてるから。
◆Caori:レディースじゃん。
◆吉田:何かひどい皮肉を言いたくてしょうがないんだよ。……そんな気持になったことないな(笑)

 

—テキストを見ずに耳だけで聴いてみると?

◆栗田:文字追わずに目を閉じて聴いてると、「お清」「お源」「お徳」が、ガンガン出て来ると、誰が誰か混乱する。
◆のあ:真蔵と磯吉は判りやすいけどね。
◆スズキ:みんな「お」付いてるし。
◆栗田:スーッと行かれると、内容をこっちでキャッチしないといけなくなる。だから、ナレーションも、語尾はフェードアウトしない方がいい。
◆のあ:「語尾で息を抜かない」ってヤツね。
◆栗田:ナレーションの「こうなるともう喧嘩だ」は、これはどういう立ち位置なの? 完全なる地の文じゃなくて、お徳の脳内の考えを代弁してる感じでしょ。なんか解り辛いんだよね。
◆吉田:そうね、「と思って」とか、補足が無いからね。
◆栗田:ここだけ急に「」無しで。突然何なんだ? って思う。
◆スズキ:実況かな。お徳側に入り込んでるよね結構。
◆のあ:今、自分は、実況のつもりで読んだ。ちょっと講談師みたいな。
◆栗田:あんまり急がないで読んだ方がいいかもね。
◆Caori:リズムは今みたいな早いの好きだったんだけどね。
◆吉田:わたしも。
◆栗田:聴いてるだけだと、ちょっと解り辛いんだよね、

 

コメントを残す